原田さんは歴史専門の研究者ではないようですが、在野で研究し著述されているようです。
歴史について、研究者・関係者・そしてマスコミの姿勢について批判的に書かれています。
古代の遺跡は今でも発掘が続いていますが、良く知られているように建設工事や土木工事で遺跡が見つかると工事を停止して急遽発掘調査が行われます。その結果、たいていの場合は埋め戻して工事を続けるということになるようです。特に重要なものは残されることもありますが、(三内丸山遺跡や吉野ヶ里遺跡はこの例です)破壊されてしまうものも数多いようです。
その運命には偶然もあり、残されるべきものが破壊されてしまったと言うものも多いとか。これには報道の熱の入れ方も関係しているようです。
邪馬台国も最近の風潮では近畿説がほとんど優勢で、巻向や箸墓で決定などと言われることもありますが、まったくそのようなものではないようです。以前の九州説優勢の時には民間の研究者が多かったものが、近畿説は京大系の公的機関が主なために、マスコミもそれに加担しているとか。主張は科学的なものではなく無理なこじ付けが横行しているようです。
近畿でも葛城の秋津遺跡は非常に重要な意味がある可能性もあるにも関わらずほとんど正当には扱われていません。葛城王朝というものの可能性も有得るということです。
九州では吉野ヶ里遺跡だけはうまく保存されましたが、ほとんどの遺跡はそういった待遇には預かることができず、むざむざ破壊されているということです。
2000年には旧石器の遺跡と称しながら石器を埋めて捏造されていたという事件が明らかになりました。これもマスコミ報道の過熱がさらに捏造に向かわせていたと言うのは紛れも無い事実であるにも関わらず、報道の自己反省はほとんど見られなかったようです。
あとがきに著者は「遺跡はだれのものか」と問いかけています。遺跡が出るとそれを利用した町おこしというのが必ず地元では話題になります。それが発掘や研究自体にも影響を与えることにもなります。そのあたりはもう一度考え直すべきなのかも知れません。