爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

温暖化被害予測 このまま行けば今世紀末

新聞報道によれば(我が家の購読誌は毎日です)環境省専門委員会が温暖化被害の予測をした云々という発表をしたそうです。これだけ厳しい寒さが続いているのに、というかだからこそかもしれませんが、一見寒いように見える時こそテコ入れが必要といったところでしょうか。

大して目新しいものもないのですが、いつもどおり「このまま行けば今世紀末には」という決まり文句です。その意味するところはおそらく「石油などの化石燃料燃焼をこのまま続ければ」ということなんでしょうが、大丈夫です。燃やしたくても今世紀末にはそれほど化石燃料は残っていません。
石油埋蔵量は本格使用が始まる以前の状態で約2兆バレルだったといいます。これには別の数字もあり7兆バレルという説もあります。これまでに人類が使ってきた石油は約1兆バレルだそうです。この使用実績の数字は誤差は大きくても確かなものでしょう。しかし埋蔵量というのはそれほど確実なものではありません。
実は2兆バレルという数字は、”これまでと同じようにそれほど手間をかけずに採掘できる原油量”ということのようです。一方、7兆バレルというのは”オイルサンドやオイルシェールなど採掘に手間やエネルギーを要するものや、深海など採掘しにくいものまで含んだ原油量”ということです。簡単に採掘できる2兆バレルという数字を見れば、これまでに1兆バレルを使ったのですからちょうど半分終わってしまったということになります。これがいわゆる「オイルピーク説」です。石油供給のピークが過ぎたという意味であり、今後は徐々に供給量が減っていくものと考えられます。
オイルピーク説が正しいとしても、「まだ半分残っている」ということであり、決して「もうすぐ枯渇する」などと言っているわけではありません。この辺のところに過剰に反応し反発する人も居ますが、冷静に考えなければいけません。しかし、これまでの使用状況を考えればあと数十年(それも30-40年)で使いやすい1兆バレルは使ってしまうということになりそうです。
使いやすい2兆バレルが終わってしまえば、いくら石油成分としてまだ5兆バレル残っているといってもその採掘や精製には今とは桁違いのコストがかかるでしょう。とても今までのような使用は不可能になります。そういったわけで、「このまま化石燃料燃焼は続けられない」ということになります。

しかし、「温暖化」で脅して燃料消費を抑えるより、「燃料がもうすぐなくなるよ」と言う方がはるかに正直であり、しかも効果的ではないですか。温暖化などと言うから科学的に考えざるを得ずいろいろな反対論が噴出してきます。またその対策の方向性にもおかしなものが続出します。燃料が無くなる対策であればそもそもエネルギー高消費型の産業はもうやめようということにならなければならないのですが、温暖化を口実にしていれば自然エネルギーならOKなどという結論になってしまいます。(これもウソばかりですが)
30年先に石油が簡単には使えなくなるとしたら、自分はもはや死んでしまっているでしょうが、子供や孫の世代はまだ若い頃です。社会にどんな混乱が生じるか考えても怖ろしくなります。対策は今から始めなければ遅くなります。