爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「新三河物語 中」宮城谷昌光著

大久保彦左衛門を主人公とした新三河物語の中巻です。平助(後の彦左衛門)は少年から青年になる年齢ですが、読書好きということは周囲からも認められるようになっています。
今川家が衰退し武田に攻められるという中で家康は三河を平定し遠州に進出することになるのですが、武田信玄との対決をしなければならないことになります。

信玄は今川の崩壊に付け込んで駿河侵攻の勢いを強めますが、関東の北条氏の勢力も強く、徳川織田も簡単には敗れないということで、信玄は徳を広めるというよりは謀略をめぐらすという方向で進出したようです。著者はそのあたりについては非常に批判的であり、また謀略という面でもあまりにも杜撰な戦略であったということで、信玄の総合力はすでに落ち目であったということだと著しているようです。

駿河の平定もおぼつかないまま、信玄の軍勢は三河から尾張を目指してきますが、浜松城の家康は三方原で激突するものの破れ三河への通過を許してしまいます。結局、三河の菅沼の野田城の抵抗で信玄の圧力は消えてしまい、ちょうどその頃信玄の生命も尽きてしまったということで危機は去ったということです。

織田からの反攻は激しく、武田勝頼の実力がないことも加わり、あっという間に武田家は滅亡してしまいますが、甲信を完全に平定する前に織田信長は本能寺で命を落としてしまいます。

中巻はそこまで、大久保平助も信濃平定に加わる22歳の若武者でした。