爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「戦国武将の戦術論」榎本秋著

著者の榎本さんはライトノベルの文芸評論家という方のようで、専門の学術研究者ではないようですが、いろいろと書物を読んでこられたようでかなり適切な論のように思えるものです。

そもそも戦国時代の武士と言うものはどういうものかということや、武器の数々、有名な戦いについても持論を披露されています。
戦国の武士団というものはどうだったか、また足軽というものはどういうものかということも様々な論議もありそうですが、これも戦国時代というひとくくりで論じられるものではなく、細かな時代差によっても大きく異なるものと思います。

戦争に入る際の段階についての描写は独特のもので参考になりました。評定から始まり戦場への出陣、その際の通行の問題点というのもそれぞれの戦闘で様々だったでしょう。また戦闘を経て終戦に向かう際の交渉もいろいろな例があったようです。引き分けの交渉というのもあまり知られていないこともありそうです。

各戦国武将についてもそれぞれ触れられていますが、織田・豊臣が制覇したのは圧倒的な経済力の勝利と言うことです。鉄砲がいかに有用であっても経済力のない国ではそろえることも難しかったでしょう。
なかなかきちんとした整理をされた本の書き方であったと思います。