爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「仇討を考証する」稲垣史生著

歴史考証家として名高かった稲垣史生さんが仇討について考証したものです。
仇討は親などを殺された被害者遺族が、加害者を討つというもので、全国的な法体系が整備されていなかった江戸時代までは行われていました。特に江戸時代に多かったのは、幕藩体制が確立し一応幕府の統治のもとにありながら各藩を出るとなかなか犯罪者を逮捕し処罰するということができなかったことから、殺人などを犯しても藩外に逃げるものが多かったということと、親の敵を討つということが武士の道徳とも合致したために奨励されることもあり、また社会的にももてはやす傾向もあったからです。
なお、不義密通のうえ駆け落ちした妻を探し出して討つという「女敵討」というものも仇討に含まれています。

有名なものを古代から挙げられていますが、驚くのは明治に入ってからも数件はあったということです。明治時代初期ならばまだ仕方のないことかとも思いますが、最終は明治38年のものまでありました。

それにしても、仇討の元になる事件というのは全くくだらないものもあり、常時武器携帯というのは碌なことにならないというのは明らかです。アメリカの銃規制にも想いが飛びます。