梶尾さんの新しい作品で、平成24年出版ですので、一応あらすじは伏せておきます。
もはや完全にSFという概念からは離れてしまい、伝奇小説というべきでしょう。著者の地元のシンボルというべき阿蘇山の噴火活動をめぐる闘争を描いています。
我が家からも阿蘇は近いのですが、数えるほどしか行った事は無くそれも有名観光地だけなので、この話のような場所はどこかが良く分からず、少し興がそがれた感じはあります。もっとよく阿蘇に通じた人ならさらに面白く感じられたかも知れません。
著者は映画原作でも成功を収めていますが、この話も映像化が考えられているのでしょうか。相当な大作になるでしょうが、クライマックスのところはその絵が見えるかのような気になりました。それを意識されているようにも思います。
火山活動に関しては、石黒耀さんという方の「死都日本」という作品に大きな感銘を受けたことがあり、この本のようなアプローチよりは科学的といえる石黒さんの描き方により親近感を覚えると共に、火山というものの大きさをよく考えるべきだというのが、火山列島日本に住むものの義務ではないかと思います。