爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

IPCC第5次報告書

IPCCの第5次報告書とやらが出てきているようですが、書いてあることはこれまでの繰り返しで、「このまま行くと今世紀末には」というおなじみの文句です。
ちょっと前に”前提を疑え”という本を読み、たしかにそうだと納得しましたが、このIPCC二酸化炭素温暖化に関連する報告はすべてそれに当てはまります。

それは「このまま行くと」のところです。これはおそらく「このままの勢いで化石燃料を使い、二酸化炭素を排出していくと」と言うことでしょうが、この人達は(一応)気象学者であるためか、その他の条件を(恣意的に)無視しています。
まず、「このままの勢いで化石燃料を」今世紀末まで90年近く使い続けていくことは無理です。かなり楽観的な予測でも石油の”枯渇”まででもあと50年以内でしょう。当然、枯渇以前には使える量はどんどん減少していくので、「今の勢いで」石油を使い続けていくことはできません。
天然ガスは石油に先駆けて減少していくものと見られます。石炭はまだ相当残っているようですが、それも石油が減少していった場合にはその穴を埋めるために急速に使われていくでしょう。「今後100年近く現在の勢いで化石燃料を使い続ける」ことは不可能なのです。

それにしても、化石燃料使用を削減させるのが目的であれば、「二酸化炭素が増えて気温が上がる」というよりは「燃料がなくなると船も自動車も動かせず、電気も減ってこれまでの社会生活は続けられなくなる」と主張するのが妥当なのではないですか。
私が危惧するのも、実際に化石燃料、特に石油が枯渇するということではなく、少なくなりつつあると言うことが誰の目にも明らかになり石油価格が暴騰していくことです。実際には無くならなくても事実上使えなくなります。

他のエネルギー源が心もとない中で、石油価格ばかりが上昇して行ったらどうなるでしょう。経済の沈滞だけでは済みません。食糧生産も上手く行かなくなり、暴動や戦争が頻発するかも知れません。もしかしたら、核爆発も起きるかもしれず、そうなれば「核の冬」で見事に寒冷化が実現されるでしょう。

現在のような「化石燃料に依存した経済社会」は速やかに変換する必要があります。しかし、それはあくまでも「二酸化炭素で温暖化するから」ではなく、「化石燃料が減少した場合の世界の変動が激しく怖ろしいものになるから」にほかなりません。
いや、”二酸化炭素による温暖化”などと言う不確かなものによって主張しているからこそ、動きが取れなくなっているともいえます。