テキサス大学准教授という清水さんが良くあるビジネス書の文句が本当に成り立つのかと言うことを詳しく説明したものです。
例えば、「会社のトップにビジョンが無く戦略がころころ変わる」ということはよく言われることです。しかし、その”ビジョン”があると言う人はどういう人か、そのビジョンはどういうものかということを見てみると、さほど見るべきものがあるわけではないようです。本当に有効なビジョンを出すためには相当な覚悟が必要と言うのが著者の主張です。それを出すと敵も作ることになるということがあり、それほどのビジョンでなければ意味も無いということです。
新しいことをやろうとしても社内の抵抗にあってできない。と言う不満もよくありそうです。しかし、組織と言うものには「慣性」というものがありどうしても従来どおりに進みやすい傾向があります。それによって不要な摩擦を回避できると言う利点もあります。また守ることで危険を回避できる場合もよくあることです。それも含めていろいろと考える必要がありそうです。
人材を採用する場合も、「学歴だけで採用するから本当に必要な人材がとれない」とはよく言われることです。これも、「本当に必要な人材」とは何かという前提が忘れられている(故意に?)ためで、それをきちんと議論する必要があるのに会社内で議論する場がないことが問題です。
結果重視、スピード重視、戦略重視、合理性重視ということはビジネスの社会でよく言われることですが、これを重視しすぎると「起点」「前提」を軽視することにつながると言うことです。これらもバランスを取って考えていかなければ思いもよらぬ変な結論が出ることが多いということでした。