著者は新聞記者を経て週刊文春の記者として、特に企業犯罪関係の取材を多くなされ、内部告発に関する資料もたくさん集められているそうです。
最後に書かれていますが、このような資料を「六角文庫」と名づけ維持しているそうですが、そこの閲覧をしに来て、資料をこっそり持ち出したり、借りたまま返さないと言う連中がかなり多いようです。企業犯罪を糾弾する立場なのでしょうが、とても偉そうなことは言えないようです。
さて、企業の関わる犯罪は近年非常に多いようです。もちろん昔からずっとあるのでしょうが、その判明したのが急増したと言うことでしょう。その理由はもちろん内部告発の急増にあります。
この本は2005年の出版ですから、そこに取り上げられたものはその直前の事件ですが、雪印食品の牛肉の国産偽装、三菱自動車のリコール隠し、武富士の社長の盗聴事件、防衛庁の装備品水増し請求など、今となってはやや懐かしい観のある事件ですが、これらは皆内部告発により発覚しています。
少し以前だと、こういった内容は匿名の「怪文書」として出回るのみでなかなか証拠もつかめずにうやむやになることが多かったようです。しかし、最近でははっきりと記名され、証拠も添付されたものが多いようで、企業としても命取りになることも珍しくありません。
犯罪の内容を見ると大企業と言えど情けなくなるようなものばかりです。そして、どこでも告発者探し、圧力、もみ消しなど、やることは一緒です。
内部告発をした人に対する制裁は相当なもので、なかなか保護というわけにはいかないようですが、法律で定められたものの結局ザル法になってしまており、危険極まりないものです。それでも告発しなければならない事情があるのでしょうか。
企業側もコンプライアンス重視といって様々な規定や部署を作っているようですが、ほとんど形だけなのは相変わらずのようです。一番はやはり悪いことはしないということでしょうが。