爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ヘタウマ文化論」山藤章二著

山藤さんはかつて非常な人気のイラストレーターで、数々の有名作家の本の挿絵なども手がけてこられました。それら絵画の専門領域から、マンガの状況など見ていると、「ヘタ」な作家のものが席巻しているように見えると言うことですが、よくよく考えてみると、実は日本では相当以前から「ヘタ」なものを喜ぶと言う下地があるのではないかと言う文化論です。

ウマイとヘタという二分割だけでは捉えきれないものが多いようで、その他に面白いと言うものがあり、それが必ずしもウマイから面白いかと言うとそうではなく、かえってヘタなほうが面白いというのが大きな要素です。
立川談志は落語の名人と言ってもよい名手ですが、だから圧倒的に人気だったかというとそうとも言えず、あまり上手いとは言えなかったけれど談志より面白いと人気があった落語家は数多くいたと言えます。

しかし、ヘタなもの、ユルイものというのがさらに力を得てきたのは最近になってからのようで、テレビを見ているとほとんど何の芸もない芸人が跋扈しており、ほんの一瞬面白いと言われてブームになり、あっという間に消え去ると言うことになってしまいます。
それが良いのかどうかなんとも言えませんが、日本と言うのはこういう国であることは間違いないようです。