1998年から2005年にかけて色々なところで発表された短編をまとめたものです。
表題作はタイムトラベルものですが、他の作品の内容は様々で、特に決まったテーマもないようです。
短編ですので、それほど多くのタネを仕込むと言うわけにはいかないのでしょう。これがそのタネかということも分かりやすくできています。
表題作「時の風に吹かれて」では、タイムトラベルのパラドックスを説明するために、移動した時間の長さに応じてあとからそれを是正する「風」が吹いてくると言うことになっています。それまでに戻れば何も無かったかのように戻りますが、それから逃れるのに間に合わなかったらどうなるかと言うところに焦点を置いています。
ちょっと面白いのは「わが愛しの口裂け女」でしょうか。口裂け女と言う話が以前ありましたが、それを上手く使ったものですが、最近の若い人であの騒ぎを知らなければ、まったく分からないかも知れません。