爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「収奪の星 天然資源と貧困削減の経済学」ポール・コリアー著

オクスフォード大学のコリアー教授は同大学のアフリカ経済研究センター所長も勤められているようです。この本も天然資源の宝庫と見られがちなアフリカの開発と経済向上を主題にしながら、天然資源枯渇の問題も含めて議論されています。
そのためか、少々論点が多すぎるのか、行ったり来たりという感覚でやや分かりにくいものでした。
天然資源の開発で多額の利益を得ながら、政治体制が独裁など不明瞭なために利益の私物化という問題が往々にしてアフリカなどでは起こっているようです。そのまま資源も枯渇してしまえば全く元の木阿弥で最貧国に逆戻りです。

近年になって発見された資源の開発を上手く進めて国全体の利益を高めた国として、ノルウェーの石油資源があり、このような開発姿勢をノルウェースタイルと呼ぶそうです。もちろん石油発見の時点でノルウェーは民主国家であり政治的にも十分に成熟していたためそのようになったのでしょうが、それの欠けている国で資源だけあったらどうしようもないのでしょうか。

話は再生可能な資源として水産物に跳びます。これは政治体制にはあまり関係ないようですが、漁業者というものの利権を守るように種々の取り決めがされており、必ずしも資源保護の方向ではないようです。
他にも温暖化と農業の関係や、遺伝子操作作物、有機農業批判、原子力発電等、なかなかまとめにくい方向で続いており、本自体がそのようなまとまりの無いものですので、とても書評もまとめられません。