古事記・日本書紀やその他の辛うじて残った文書などで知ることができると思われる日本神話ですが、中世・江戸時代・明治時代とその時々の状況によりすさまじい読み替え(改変)がされてきたということはあまり知らなかったことでした。
それを佛教大学の斎藤教授が解説されています。
神話の原型と言うのは奈良時代以前に作られていたのでしょうが、記紀成立の時点ですでにその当時の政治情勢により原型に対してかなりの操作が加えられているようです。そのために古事記と日本書紀の間に相当な食い違いもできてしまいました。
中世に入り、仏教との関係も影響をして様々な主張をする神道各派が出現してきます。それらにより神話も自由自在に形を変え使われていきます。これまではそういったものは「荒唐無稽」と言われ正当な研究からは取り扱われなかったのですが、それも含め分析しなければ正当な把握はできないようです。
江戸時代の本居宣長、平田篤胤の新解釈も神話を相当ゆがめてしまったようです。しかし、それが幕末の志士などに受け入れられたことで、その解釈自体も力を持ちその後に大きな影響をもたらしました。
神話にとってもっとも大きな痛手は明治政府により神道が国家神道とされて宗教でもなくなり、統治のための歴史的事実とされてしまったことで自由な解釈などは全く許されなくなったと言うことになります。
いまだにその束縛から完全には抜け出せていないようです。