爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ダルタニャン物語6 将軍と二つの影」アレクサンドル・デュマ著

ダルタニャン物語も第3部ブラジュロンヌ子爵に入ります。前作より約10年後、ルイ14世は成年になり、マザランからの独立を切望していますが、まだ果たしていません。
ダルタニャンは前作で近衛銃士隊隊長という約束を貰いますが、それは空手形となり副隊長のままです。アトスはラフェール伯爵領で静に暮らしています。ポルトスはドブラシューを男爵領として栄華な暮らしをしているようです。
ルイ14世が王妃を迎えるためにスペインに向かう途中、イギリスの処刑された全国王チャールズ1世の長男チャールズ2世が訪れます。イギリスは清教徒革命以降、クロムウェル父子の治世も終わり、モンク将軍とランバートが争う情勢ですが、モンクが有利になっているところです。このような状況で、チャールズ2世はここで100万ポンドの現金か200人の貴族があれば王政復活はなると読み、それをフランス国王に求めようとします。しかし、ルイは了承したい気持ちはあったものの、マザランにより冷たく拒絶され、さらにフランス国内に留まることもできなくなりました。
それを見聞きしたダルタニャンは義憤にかられ銃士隊副隊長の職を辞しあるたくらみを持ってイギリスに遠征することとなります。
一方、チャールズ2世は失意の中、会見場となったブロワの城を離れますが、実はそのすぐそばにラフェール伯爵領があり、そこでアトスと会います。アトスはチャールズ2世の窮状を聞き、第2部でクライマックスの一つであった、チャールズ1世の臨終の場面、そしてそこで聞いたイギリス国王の最後の宝、奇しくも100万ポンドの遺贈金についてチャールズ2世に話し、それを掘り出してきて渡すことになりました。
しかし、その場所はちょうどモンク軍が陣を張るニューカッスルの古城のあと、アトスは単身でモンクのもとを訪ね、堂々と交渉してそれを掘り出します。しかし、ちょうどその時ダルタニャンが率いる小部隊がモンク将軍の隙をついて拉致してしまいました。それをオランダに居るチャールズ2世のもとに連行し、二人を引き合わせます。しかし、国王は何の条件もつけずにモンクを解放しイギリスに送り返しました。
それを深く感謝したモンクは独断でチャールズ2世を国王として迎えることを決意し、王政がめでたく復活することとなりました。

ダルタニャンはイギリス国王とモンクより多額の謝礼を貰い、アトスはすでにガーター勲章は父君より受けていたため、チャールズ2世からは金羊毛勲章と言う最高位の勲章を貰ってフランスに戻りました。

そのあと、マザランの寿命が尽き、ルイ14世の親政とコルベールの補佐の時代に代わると言うところまででこの巻の終わりです。