爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「金融緩和の罠」藻谷浩介、河野龍太郎、小野善康、萱野稔人著

津田塾大学准教授で、哲学博士という萱野さんが、現在の政府の金融緩和策に批判的な3人の方と対談した内容を今年の4月に出版したものです。
大胆な金融緩和ということで実施されている現在の政策ですが、熱狂的に受け入れられている割には概念があまりにもあやふやで、非常に危険な先行きを感じていましたので、このような内容のもので確かめたいと思って今したが、かなりすっきりとしたように感じます。
藻谷さん、河野さんの主張はかなり似たもののように感じます。デフレと言われてきた経済状況の主因は勤労世代が減ってきたことによるもので、それに対して増えてきた高齢者世代は多くの財産を持ってはいるものの、おいそれと使うことはないということです。そのような変化に関わらず、企業はそれまでの生産体制を変えず、しかもコスト削減のために労働者削減などまったく逆の施策をとったためにこのような事態になったのであり、それを金融緩和などと言うことでやってもさらに壊れるだけのようです。
小野さんの主張も、デフレと言われているものはモノに対する愛着よりカネに対する愛着がはるかに大きくなってしまったためのものであり、これも現在の緩和策ではさらにカネを溜め込む人を増やすだけで逆効果ということです。

まあもうすぐすべての化けの皮がはがれるでしょう。できるだけそれが早く来るのを祈るばかりです。