爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

教育論「職業教育、一般教育」

社会人として必要な能力が職業によって大きく異なるならば、中学や高校など早い時期からの職業教育が必要かどうかと言う問題になってきます。
現在の日本の教育では、高校でかろうじて工業高校、農業高校、商業高校などの職業別の課程を持つ高校がありますが、中学までは完全に同一の課程になっています。高校の職業課程もかならずしも十分な職業訓練ができているとも言えず、高等教育の中で偏差値の低い生徒を収容する施設となっているのではないかと言う疑いも持つことができます。
普通高校では職業課程は全く含まれず、そこから就職する生徒は居てもそこまでの教育課程では職業訓練は期待されていないものと言えます。

本格的な職業訓練と言えるのは、高校卒業後のいわゆる「専門学校」でしょうか。現在、さまざまな専門の職業それぞれの専門学校というものが大体1−3年程度の就業年限で開講されているようです。しかし、あくまでも公立学校は含まれず私的なものと言う扱いかと考えられます。

大学もほとんどが一般教養と学問としての専門科目を養成するものでしょうか。もちろん、医学・薬学などの高度の専門性を持つ学科ではそれを経由しなければ取得できない資格(医師・薬剤師)があり、それはしっかりと確立している体制となっています。しかし、他の分野では(法学も含め)大学で教育を受けることが必須と言う分野は無いと思います。

してみると、一般の大学・高校を卒業した学生を採用する企業と言うのは職業訓練をされていると言うことは期待していないことは明白です。期待しているのは、それぞれの学校で入学時に課している高いレベルの入学試験突破能力だけではないでしょうか。つまり、高度な入試を突破できる能力(学力)を持っていることは公正な入試で証明されているので、安心して採用できるというだけの話です。その後の学生生活はほとんど考慮されていないとも言えるかも知れません。
これまでの日本の企業ではそういった「素質を持つ人材」を採用し、自社の社員養成システムで自社に適合する社員を育てると言うことだったように考えられます。

職業訓練教育を受けた工業・商業・農業高校出の生徒はあくまでも現場作業員としての採用だったのでしょう。そこでも学校での職業訓練というものは企業から見れば評価はできないものだったと言えます。