爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「英語の不思議再発見」佐久間治著

予備校の英語講師を長らくやっていらっしゃる佐久間さんですが、英語の歴史的な変遷には相当詳しいようで、さまざまな英語に関する疑問を歴史的な事実から説明されています。
英語に関しては、いろいろな点で例外や特殊な活用、綴りなど変なところがあちこちにあり、学校で勉強する際にいらいらした覚えはどなたにもあるかと思います。そういった点について、発音・語彙・文法の視点から一般の日本人が疑問に持ちやすい点を解説しています。
例えば soldier はなぜ”ソウルジャー”と発音するのか、ということでは、dをジュ、ジェと読むという風潮が17世紀頃に広く行われたそうです。しかし、その後またドゥなどの発音に戻ったものの、soldierのみが取り残されたという経緯があるようです。
また、providing that が という条件なら という意味になるのが、通常のprovideの使われ方の”供給する”からはるかに離れているのが分かりにくいのですが、これも”供給する”と言う意味ができたのがごく最近に過ぎないと言うことも知られていないことでしょう。

こういったことは、英語をめぐる歴史の変遷の複雑さによります。ゲルマン人の部族がイギリスに侵入した頃から英語の歴史は始まりますが、その後ノルマン人の征服によりフランス語の影響を大きく受け、さらに大陸との関係が影を落としてきたようです。14世紀と16世紀に最後の大きな英語の変化が起こり、ようやく現在の英語が出来上がってきたということのようです。
そのようなわけもあり、17世紀に大規模に移住して出来上がったアメリカではその当時の英語が残っているということもあって、アメリカ英語とイギリス英語の差と言うものもあるということです。

しかし、そのような複雑極まりない言葉が世界言語となるにふさわしいのかどうか、ちょっと疑問を生じさせるような問題です。