爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「99.9%は仮説」竹内薫著

ミステリー作家、科学ライターという竹内さんですが、ちゃんと物理の博士号をお持ちの方のようです。
飛行機が飛ぶというのは理論的にきちんと説明されていないと言う導入部で引き込まれます。
その飛行理論というのはすべて仮説であり、場合によっては別の仮説によって取って代わられる可能性があるものです。

その他の科学各分野についてもほとんどが仮説により組み立てられています。実はわずかな可能性のある事象が一つあることで否定されるかもしれないものです。

科学万能と見えるような現代でもそういった科学の本質を知る人はごく一部であるようです。理系の大学であっても科学史・科学概論を教養課程ででも教えると言うことが無いようです。これは非常に問題が多いところでしょう。
本書の最後にも参考文献として挙げられている科学史関係の本の著者はいまだに村上陽一郎先生です。もはや40年近く前の私の大学入学の頃にも教養で科学史を教えていらっしゃいました。その後の人材が出てこないのでしょう。

科学は仮説で組み立てられているということを理解したうえで科学を志す、そういうことになればよいのでしょうが。