爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「健康不安社会を生きる」飯島裕一著

信濃毎日新聞編集委員の飯島さんが、現在の”健康”事情について様々な専門家と対談し、新聞での特集とした記事をまとめたものです。
健康をめぐる事情はかなり複雑な様相になっており、それが大きな商売になると言うところから日本を代表するような大企業でも参入している状況です。政府の対応も本当に健康的な生活を送らせるためにあるのか、経済活性化のためにあるのか、疑問を抱かざるを得ないような状態です。

対談相手は大学などの研究者や医師が多いようですが、若干程度の差はあるようでした。

健康不安社会について、健康情報について、健康づくりの光と影についての3部構成です。健康情報についてのなかで、群馬大学の高橋久仁子先生、法政大学の左巻健雄先生はこれまでにも著書などでおなじみで、予想通りの話をされていますが、メタボについての話をされた医事評論家の水野肇さんはあまり存じ上げなかったなかで、内容はなかなか興味深いものでした。メタボ診断などしても医療費削減にはつながらず、かえって無駄な医療費が増えると言うものです。単なる肥満などに金をばら撒くようなことはせずに、糖尿病に絞って対策をすべきということは面白い視点かと思いました。

健康でなければならないと言うのは誰からも強制されるべきものではありません。ナチスや旧日本を思わせるものです。それがそう思わせるような雰囲気を作られ、とくに生真面目な人がそれに追い詰められるようになってはいけないと考えます。