爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「古代オリンピック」桜井万里子、橋場弦編

ギリシア古代史の研究者が古代オリンピックに関するさまざまな歴史的事実をまとめたものです。
伝承では紀元前776年に始まったと言うことですが、実際はそれよりは後のようです。ローマの支配下に入っても続きましたが、最終的には4世紀にローマがキリスト教を強化し異教の祭典を禁止したことと、異民族の侵入により続行できなくなったようです。
競技ははじめはスタディオン走という短距離走のみでしたが、続いてレスリング、ボクシングが入り、また競馬、戦車競争、五種競技が種目になりました。レスリングが近代オリンピックの種目からはずされると言うことは、たしかに意外だったかも知れません。

しかし、スポーツが主というよりは、ゼウス神信仰の祭典として実施され、それに付随してスポーツもされたと言う感じがします。
そのためか、ギリシアで開催されていた時代にはギリシア人以外は参加することができませんでした。また、各ポリスの名誉をかけていた為に、勝利者に対する報償も相当なもので、アマチュアと言うものではなかったようです。

近代オリンピックは古代オリンピックの形を借りてクーベルタンが作り出したもののようで、その基本的意味も相当違いがあるようです。