爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「みんなで決めた 日本一の朝ごはん」美味しい朝ごはん調査隊編

実は最近、本の書評を紹介するというサイトに参加しているのですが、そこでは出版社から貰った本をタダで配布しその書評を書くということもしています。

 

この本はそれで貰って書評を書いたものです。(そちらの書評と、ここで書くものとは別です。こちらはより本音に近いことを書いておきます)

 

この本は、昨年行われた「朝ごはんフェスティバル2016」という、日本全国の旅館・ホテルなどで出される朝ごはんメニューの中から「日本一」というものを選んでしまおうという、楽天トラベル主催のイベントの記録です。

 

イベントの形式は、ネットでの投票で各都道府県代表を決定し、それを10月の実食対決で選ぶというもので、実食対決も2日間にわたり、一般参加の1日目と、特別審査員のファイナルステージで決定したということです。

 

エントリー数は1500で、観光地の旅館ホテルばかりでなく市街地のシティーホテルも参戦していました。

この本にもそれらの中から448メニューを紹介されていました。

ただし、観光旅館などでは朝からこんなもん出すのと言うような豪華版もあるのに対し、市街地のホテルなどはそこまでの内容ではなくどちらかと言えばパンの美味しさで勝負といったところが多いようでした。

 

優勝したのは、山形県温海温泉の旅館の、芋煮をイメージして作られた芋煮汁のメニュー。それを岩のりを使った吟醸茶漬けと合わせたものでした。

 

さて、後半で紹介されているホテルなども、さすがに地域では有名どころ、高級風なところばかりでしたが、それでも何箇所はこれまでに泊まったことのあるホテルなどが含まれていました。

ただし、「こんな朝食メニューなんて出なかったよ」と言うところですが。

 

具体的には、石川県金沢の 金沢白鳥路ホテル山楽の「加賀れんこんと鳥手羽元のほろほろ煮」というものです。

まあ、そのときは前夜に飲みすぎて朝食は食べられなかったので、仕方ないですが。

 

兵庫県淡路のホテルニューアワジにも泊まったことがあるのですが、掲載の「地魚干物の炙り」なんていうのは食べませんでした。まあこれもバイキングで洋食メニューばかり食べていたのですが。

 

まあ最近はめったに旅行にも出かける機会が無くなってしまいましたが、宿の朝ごはん目当てなんていう旅も良いかもしれません。ただし、あまり期待して行ってがっかりということも多そうですが。

 

みんなで決めた日本一の朝ごはん

みんなで決めた日本一の朝ごはん

 

 

 

「その〈脳科学〉にご用心」サリー・サテル&スコット・O・リリエンフェルド著

脳科学という分野が発達し、色とりどりの脳画像と称する絵をあちこちで目にするようになってきました。

リアルタイムで画像が見られるために、いろいろな質問をしたり、映像を見せたりした場合の脳の反応といったものを得られるようになり、それを様々な分析に供するといったことを実施するのがブームのようになっています。

 

しかし、その科学性というものはそこまで深く討論されていないようです。

にも関わらず、「アフマディネジャド」の画像を目にした人の脳の反応を見て、活性化したなどとしてそれが何かの意味があるかのように主張する人たちも居ます。

また、アメリカの例ではこれを殺人事件の裁判などに取り入れ、被告が精神的な障害があることを証明して刑の減刑や無罪を得ようという動きも延々と続いているようです。

 

このような状況について、アメリカの精神科医であるサテルと、心理学者のリリエンフェルドが具体例を数多く挙げて説明しているというのが本書です。

 

1980年代に、脳の機能的画像としてPET(陽電子放射線断層撮影法)が出現しました。それから10年も経たない内に、さらに機能を増した「fMRI」(機能的磁気共鳴画像法)が実用化されました。

こういった技術により、様々な状態の人間の脳が観察できるようになりました。

 

この結果、いろいろな分野への応用が試みられ、神経法学、神経経済学、神経哲学、神経マーケティング、神経金融学などという新たな研究領域を産み出しています。

 

脳を研究すればこれまでに人類が立ち向かったうちでも最も深遠な謎、つまり人間そのものの謎が解明されるかもしれないという期待を込めての熱狂です。

 

ある科学者が言うように「脳画像は科学のシンボルとしてボーアの電子モデルに取って代わりつつある」のかもしれません。

他人の頭の中を覗いてそこに意味を見出すということができればと考え、有権者の意見を操作したい政治家、消費者が本当に買いたいものの知りたいマーケター、絶対確実な嘘発見器を手に入れたい警察、中毒研究者、精神病医、被告人弁護士などがこれに飛びつきました。

 

しかし、著書が強調しているのは、「今はまだ脳画像法はそのようなことは何一つできないのだ」ということです。今後の発達はするかもしれませんが、まだ実用的なものではありません。

 

外部からの刺激に答える脳の反応というものを見るというのが脳画像法の根本です。

しかし、そこにはある刺激をそれに反応する脳のある領域とが1対1で対応しているということを暗黙の了解としてしまっていますが、実際はそのようなことがあるはずもありません。

数多くの反応が複雑に絡み合っているものを、1対1に単純化してしまうという、およそ非科学的な手法を使ってしまっているのです。

 

このような、まだ現在のところは不十分な科学性しかもたない方法ですが、何とかそれを使って自らの都合の良い結果を科学の衣をまとわせて出したい連中にはもってこいのもののようです。

 

薬物やアルコールの中毒患者に適用すれば、その中毒症状と言うものは本人の責任から離れて脳の疾患のように見せかけられます。

また、殺人事件の被告の脳に何らかの異常があるように見せれば被告の責任を軽減できるように陪審員に信じさせることもできるかもしれません。

 

著者は、この脳画像法の可能性を否定するわけではないとしています。しかし、現在のこの手法はまだまだ科学的なものとは言えない状態であり、これを恣意的に利用して自らの論議を科学的に見せたいということはやってはいけないことであると主張しています。

 

本書はアメリカで2013年に発行されたものを2015年に翻訳し出版されたものです。日本の状況とは差があるかもしれませんが、どうせアメリカに遅れて付いていく日本のことですから、こうなるのでしょうか。

まあ「一見科学風」に弱い日本人のことですから、すぐに騙されることでしょう。

 

その〈脳科学〉にご用心: 脳画像で心はわかるのか

その〈脳科学〉にご用心: 脳画像で心はわかるのか

 

 

「時を刻む湖 7万枚の地層に挑んだ科学者たち」中川毅著

考古学的な時間の計測のために、炭素のアイソトープ14Cというものが使われますが、そこにはどうしても誤差が付き物でした。

大気中の14Cの濃度が一定であると仮定し、それが動植物に取り込まれると徐々に崩壊していくためにその濃度が減っていくのでその動植物が生きた時代が特定できるという方法ですが、大気中の14Cの濃度が実は一定とは言えないということが分かってきました。

 

とはいえ、考古学的資料の絶対年代の測定には他に良い方法も無いために、このアイソトープ計測というのは不可欠な方法です。

そこで考えられたのが、大気中の14Cの濃度の変化を追認できるような資料を求めることでした。

木材には年輪というものがあり、年代とアイソトープ濃度の対照が得やすいということで様々な資料の測定を行ない、アイソトープ濃度と絶対年代の補正(カリブレーション)が行われましたが、ヨーロッパでは12500年前が壁となりそれ以上古い資料は得られませんでした。これは、その時期がヨーロッパでの氷河期の終了時であり、それ以前は氷河に覆われ木が生えていなかったためです。

 

それ以前の資料が何かないかということを世界中の研究者たちが探していた所、日本の福井県三方五湖の一つ、水月湖という湖の堆積物がそれに最適だということが分かってきました。

湖では、夏にはプランクトンが繁茂しその死骸が堆積し、秋から冬にかけては鉄の炭酸塩が堆積するために、毎年繰り返し堆積物が積もっていきます。

それが、まるで年輪のように積み重なるために、「年縞」というものを形成します。

 しかし、たいていの湖ではそれがすぐに撹乱され崩されることになるのですが、水月湖にはきれいに積み重なっていく条件がすべて完備していました。

すなわち、四季の気候がはっきりしていること、流入する川がなく乱されないこと、生物が住みにくく活動により壊されないこと、さらに徐々に沈下する断層形成作用のために埋まらなかったことというものでした。

 

そのような条件であることが最初から意識されて発掘されたわけではなく、偶然に著者の中川さんの師の安田喜憲氏(現在立命館大学)が別目的で調査したものが、きれいな年縞を示していることに気付いたそうです。

なお、この「年縞」という言葉もそのときに安田氏が使い始めたということです。

1991年に発掘を始めてきれいな年縞のある堆積物を得ることができました。しかし、当時はまだそれをどのように活用していくかということもはっきりと方針が決まっていたわけではないようです。

この資料にはざっと見積もって7万年分の堆積物がありました。単純にその数を数えるだけでも相当な手間と時間がかかります。研究者の仕事をそれだけにかける価値があるのかどうかも難しい話でした。

 

様々な紆余曲折があったようですが、これが14C(カーボン14法)による年代測定法のキャリブレーションに使えるのではないかと考え、世界各国の研究者たちの協力も得て、それの完全に近い校正が可能となったのは、本書著者でもあり、この研究の指導者であった中川さんの洞察力と構想企画能力、さらにリーダーシップの為せる技であったのでしょう。

 

この業績のおかげで、これまでカーボン14法ではどうしても年代測定の誤差があると言われてきたものが、その誤差を桁違いに小さくできることになりました。(ただし、資料の選定に問題があれば別ですが)

考古学の発展のために非常な力となるものです。

 

こういった仕事を成し遂げた人の言葉を直接聞くことができるような、本書の価値は非常に高いものと言えるでしょう。

その仕事も決して楽な道ではなかったということもよくわかります。またその障害を乗り越える課程も細かく触れられており、興味深いものです。

(まあ、自分に都合の悪いことは書いていないかどうかは知りませんが)

 

時を刻む湖――7万枚の地層に挑んだ科学者たち (岩波科学ライブラリー)

時を刻む湖――7万枚の地層に挑んだ科学者たち (岩波科学ライブラリー)

 

 

「日本の大問題 現在をどう生きるか」養老孟司、藻谷浩介著

最初の「長いプロローグ」というものを養老さんが書かれており、そこでは「教育論」というものが扱われています。

その後は、養老さんと藻谷さんの対談で進行していきますが、話題は必ずしも教育論のみに留まらず、社会情勢や人の生き方まであちこちに飛び回ることになってしまいました。

 

養老さんは解剖学者でありながら、「バカの壁」などの著作で有名な方ですし、藻谷さんは日本開発銀行勤務を経て現在は地域エコノミストとして活躍されています。

お二人の対談はあまり編集されているようにも見えず延々と続いていきます。

 

気になった事柄に触れておきます。

 

養老さんが書かれている部分ですが、「情報はすべて過去のこと」とあります。

現代は情報化社会と言われていますが、情報というのは基本的にはすべて過去のものです。もう済んでしまったことなのです。

済んでしまったことに取り巻かれて肝心のことを先送りしているのが現代人です。

 

 

石油など化石燃料が減っていくのは間違いのないことです。

今、石油が無くなったとしたら東京は絶対にもたない。車が走れず流通も生活が成り立たない。石油が無くなる前に計画的に地方に分散することが必要であり、そこに日本人の本気度が問われる。

 

地下鉄サリン事件の実行犯だった林郁夫は慶応病院の医師でした。

それが交通事故の加害者となったことでオウム真理教に入信し結局サリン事件を実行しました。

それが、刑務所の中で本を書いたそうです。医者が大量殺人犯になるのは大変な心境の変化があるはずと思い、養老さんは買って読みました。

しかし、その内容は単に「反省しています」ということだけでした。

それで気付いたのは、これは近代日本ではないか。明治維新以降五大国として世界の模範生となりました。これは慶応大学を出て医師になった林郁夫ではないか。

いつの間にか事件に巻き込まれて大量殺人をしてしまった。それを戦後になったらけろりと忘れて「反省してます」

林郁夫は近代日本をそのまま体現しているようなものです。

林になぜこうなったのか聞いてもおそらく自分でうまく説明できないでしょう。日本も同様です。

 

日本の大問題 現在をどう生きるか

日本の大問題 現在をどう生きるか

 

 いろいろ言いたい放題、時事放談のような本でしたがところどころに見るべき部分も見られるように思いました。

「右翼と左翼」浅羽通明著

右翼と左翼という言葉は、現在でも度々聞かれます。

最近ではカタカナで「ウヨクとサヨク」などと書かれることも多いようですし、派生して「ネトウヨ」などと使われることもあります。

しかし、実際に「何が右で何が左か」ということはそれほどはっきりとしたことではありません。

 

これがフランス革命当時のフランスの議会から起こったということは、知識として知っている人もいるかもしれませんが、事はそう簡単なものではないようです。

ヨーロッパやアメリカを始め各国でも「右・左」という分け方がされる場合がありますが、例えば北朝鮮はどちらでしょうか。中国が共産党を中心に統制を強める政策を行なったら「右傾化」でしょうか。そうは言わないようです。

 

というわけで、著述家の浅羽さんが誰にでも分かるように解説しました。何故かと言えば、専門の政治学者などはこういった本を誰も書いていないからだそうです。

 

かつては右左というものが分かりやすかったように感じられた時代もありました。

共産主義社会主義が左、だからソ連や中国は左、対するアメリカは右。

そこから派生し、右と左で対立させて表現すれば、

右は 保守的、軍国主義再軍備、暴力、九条改憲、体制的、与党、民族

左は 革新的、平和主義、非武装、話し合い、九条護憲、反体制的、野党、市民

 

といったものだったようです。

しかし、このような対立軸があったとしても、そもそも数直線のように表せる尺度なのでしょうか。

上記の例も少し突っ込んで考えればすぐにおかしいことがわかります。

左が平和主義といっても左の本尊のソ連は強力な赤軍を擁し、世界一の軍事大国でした。

実は左が平和主義というのは、ごく限られた状況だけで生まれたものだったのです。

 

しかし、辞書辞典類などを参照し整理してみると、最低限の定義のようなものは見えてきます。

「左・左翼」は、人間が本来「自由・平等」で、「人権がある」ということを世に実現しようとします。

「右・右翼」は、「伝統」や「人間の感情、情緒」を重視します。ここで、保守すべき「歴史や伝統」は各国、各民族で独自のものとなるので、どうしても「国粋主義」「民族主義」となり、「左翼」の国際主義・普遍主義とは対立します。

 

 本書はこのあと、フランス革命後の議会の状況から始まり、19世紀のヘーゲルマルクスの議論、共産主義出現からのナショナルとインターナショナルなどを論じ、ついで日本の戦前から戦後にかけての右と左を解説します。

この辺のところは詳細なものであり、知識として知っていれば相当なもの?かもしれませんが、略します。

一つ覚えておいたほうがよいのは、「日本には王党派という本来の右翼は存在しなかった」ということ。もう一つは、「日本では革命的・急進的民族主義者が右翼となった」ということでしょうか。

 

さて、太平洋戦争敗戦後の日本では、それまでの権力内右翼というものは存在を許されず反体制に押し出されました。

また共産党のような戦前は非合法だった左翼が合法化されました。

そのため、全勢力が一歩ずつ左にずらされたということができます。

 

また、戦後すぐにはアメリカ占領軍は日本の軍事体制からの解放軍と見られたために、共産党も一時はアメリカを歓迎したのでした。

しかしその後冷戦に移行するにつれさすがにアメリカは敵と気づきます。

そして昭和25年前後から戦後日本の右・左の図式は新たな状況に入ります。

それは一言で表せば「右・対米従属と再軍備と九条改憲」「左:中立と非武装と護憲」というもので、それが長く続くことになりました。

 

しかし、その双方ともアメリカの傘の下、甘さの目立つものでした。

左翼の甘えは、革命戦争というものを避けて非武装中立に逃げ込んだものです。これが日米安保体制の中での議論であるにも関わらず、ということです。

 

右翼の甘えは、国粋主義を表向き唱えても、実際は対米従属でしか居られなかったことです。本来は自主憲法を制定したら堂々と日本軍を再建しようというはずのものですが、右翼の中にもこういった論議をした人はほとんど居ませんでした。

 

ソ連崩壊による冷戦終結はこのような右翼左翼の対決を変化させたのですが、右翼が勝利とも言えません。

どちら側も焦点を失いぼんやりとしてきたようです。

「自由と平等」という思想であったはずが、各地で宗教原理主義民族主義の台頭にあっています。

本来は「自由と平等」はその当時圧倒的だった「帝国」に対抗して出現しました。しかし、現在は宗教原理主義民族主義を抑えるために帝国が必要になっているのかもしれません。

 

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

 

 いや、難しかった。あまり手軽に「右翼・左翼」なんて言えないようです。

 

「年代で見る 日本の地質と地形」高木秀雄著

日本列島は火山や断層の上に乗っているようなもので、地震や噴火の脅威を常に受け続けているようなものですが、それらは非常に美しい風景ともなっており、観光資源としても重要なものです。

 

地球の歴史の中で生まれてきた地質や地層などの典型を見られるという意味で、ジオパークというものを定める活動が行われており、2017年1月時点で国内ジオパークは43地域選定され、そのうちユネスコ世界ジオパークに認定されているものは8箇所となっています。

 

本書著者の高木さんは、地球科学の研究者であるとともに、ジオパーク運動に深く関わって来られ、日本ジオパーク委員会顧問だということです。

 

本書はそのようなジオパークを例に取り、日本列島の5億年の歴史をたどりながら、実際の地形や地層などに表れているところを、非常に美しい写真で示しています。

 

なお、ほとんどが有名観光地となっているところであり、私も訪れたことがある場所が多数含まれています。やはりこういったジオパークとしての要素は観光資源としても重要であるということなのでしょう。

 

地層が長年にわたって積み重なっているということでは、アメリカのコロラド平原などは典型的なものです。コロラド川により侵食されたグランドキャニオンは壮観ですが、地形的にはただほぼ水平に数十億年分重なっているだけとも言えるものです。

しかし、日本列島ではプレートが押し合いへし合いで複雑な動きとなり、下仁田ジオパークではおよそ2km四方の白亜紀の地層が完全にひっくり返っている場所もあるそうです。

 

 

日本列島はフィリピン海プレート、太平洋プレート、ユーラシアプレート、北アメリカプレートがぶつかり合っているところに形成されました。

プレート同士がぶつかり合うと一方が他方の下に潜り込むのですが、その時に水分も引きずり込むことで火山フロントも形成されます。

それとともに、プレートの動きにつられて動いてきた付加体と呼ばれる岩塊が地上に残ることになります。

日本列島というのは、実はこのような付加体が地形の骨組みとなり、その上に積み重なった堆積岩と、火山噴出物でできているようなものと言えるそうです。

 

さて、こういった基本知識の解説のあとはいよいよ「年代別」典型例の紹介になります。

 

最初は「日本最古の鉱物」です。 ただし、この本には「日本最古の」がつくものがいくつも出てきますので、注意が必要です。

 

日本最古の鉱物は、立山黒部ジオパークの宇奈月花崗岩に含まれるジルコンだそうです。

宇奈月花崗岩自体は1.8億年前にできたものですが、その中にもっと古い時代の鉱物片としてわずかにジルコンが残っていました。

 

日本最古の岩石としては、岐阜県上麻生のジュラ紀地層の中に礫(小石)として含まれていたものだそうです。これが20億年前。なお、ここは私の祖母の出身地の近くだそうです。

 

日本最古の岩体、つまりある程度の岩の塊として残っているものです。

これには、茨城県日立、熊本県竜峰山、宮城県早池峰などが挙げられます。

 

ここで驚いたのは「熊本県竜峰山」でした。こう聞かされてもほとんどの人はどこだか分からないと思いますが、熊本県でも南部の八代平野の東側の低山です。

我が家から道路に出ると眼の前にそびえている山です。こんなところにそういうものがあったとは。

 

日本最古の地層は、岐阜県上宝村の飛騨外縁帯と言われているところです。4.5億年前ほどでしょうか。オルドビス紀の化石を含みます。

 

その後のシルル紀デボン紀以降の堆積岩や石灰岩は化石を大量に含んでいます。

これらの地層が日本列島の骨格を形成しました。

 

時代は一気に下り、2000万年前の新第三紀以降になると、日本海が拡大していきいよいよ日本列島が分離されてきます。

そこに取り上げられているジオパークなどの写真は有名観光地が続出です。

山陰の香住海岸、青森の仏ヶ浦、茨城の袋田の滝、栃木県大谷石、等よく見る風景が続きます。

 

第四紀に入り、現在まで続く火山活動が活発化し多くのカルデラが形成されてきます。

こういったカルデラがすべて大規模噴火を伴っていたことを思うとこれが現在起きたらという怖さとともに興味も湧きます。

妙義荒船もカルデラの痕跡でした。北アルプスの槍穂高付近にも現在は表れていないカルデラがあったそうです。

日本最大級のカルデラは9万年前の阿蘇噴火でした。これでは九州のほぼ全域を火砕流が埋め尽くし、火山灰は北海道まで確認されます。

さらに、2.6万年前には姶良カルデラの大規模噴火、そして今のところ最後のカルデラ噴火である、7300年前の鬼界カルデラ噴火でした。

地質時代の長さから考えるとこのような噴火はごく最近と思えるものです。

しかし、阿蘇第4ほどでなくても姶良カルデラ噴火でも今起きれば日本はほぼ破滅でしょう。

 

最後の方には、地震断層の実画像として、濃尾地震の根尾断層、阪神淡路地震の野島断層のものが載せられています。地面の下に大きな力がかかっていて、時折動き出す。日本列島の宿命と感じます。

怖ろしいことかもしれませんが、しかしその風景は美しい。

 

 

「日本は、」G.D.グリーンバーグ著

著者のグリーンバーグさんはアメリカ出身で大学で経済学を教えていたそうですが、詳細は自分でも明らかにしていないものの40年ほど前に大学を追われ日本にやってきたそうです。

 それからずっと日本の大学で教えて過ごしてきたそうですが、日本に来て感じた日本文化や習慣など公平な感覚で見られているようです。

アメリカのことは善悪含めて精通しているので、そちらの影響も正確に判定しています。

 

そのようなグリーンバーグさんですが、ツイッターで数多くのつぶやきを残しています。

それが秀逸ということで、まとめて本にするということになったそうです。

 

本はほとんどすべてが「つぶやき」のみという構成で、解説も何もありません。

さすがに、まだそれほど時が離れていないため、何についてのつぶやきかということもそれほど無理なく想像することができますが、しばらくするとそれも分からなくなるかもしれません。

 

万葉集など、古代の和歌集には「詞書(ことばがき)」という、その歌が詠まれた背景や解説などが付記されていますが、ツイッターもまとめる際は詞書が必要になるかもしれません。

 

どれもなかなか鋭い一刺しのつぶやきばかりですが、中からいくつか選んでみました。(私の独断の選考です)

 

☆日本人女性の美しさ、「近くに行くのにも化粧をして着飾る手間と金を惜しまない」と世界の女性に賞賛される。しかし世界の女性は小声で囁く。「なぜ?美しい黒髪の色を変え、きれいな地肌を化粧で隠し、体臭もないのに香水を付ける。なぜ?」

 

☆「日本人ばなれしたー」なんと自虐的な表現!

 

☆すべての神秘主義を否定する私としては占いの類が嫌いである。ワイドショーの星座占いですら不愉快だが、心から憤慨したのは、加入していた大手生命保険の冊子内の占いコーナー。保険というシビアに未来を見つめる立場から占いを見せられ、私はその保険を解約した。

 

☆世界の下品。イギリスのゴシップ誌、日本のエロ本、そしてアメリカ人そのもの。

 

☆アメリカはいつも日本に「規制緩和」を要求するが、それはたとえば医療保険のように米企業が大手を振って参入するために他ならない。ただ日本にもそういう例があって、宮内義彦氏による「規制緩和」「行政改革」の後にはオリックスが大手を振って参入している。

 

☆日本人が思う世界はアメリカ。アメリカ人が思う世界もアメリカ。

 

ジャイアンツが主導し、ジャイアンツが得をする逆指名ドラフトは(一応)崩壊した。自民党が主導し自民党が得をする小選挙区制、比例代表制も崩壊させられるはずだと信じたい。

 

☆つくづく思うが日本のロックの歌詞における英語の貧しさ。発音がひどい。意味がわからない。意味がわかっても前後の文脈とあっていない。合っていても田舎の中学生のような言葉遣い。作詞をしている若者ははっぴいえんどブルーハーツの高潔な日本語歌詞を知らないのだろうか。

 

 

いやあ、本当にお上手。こういったつぶやきが他にもどんどんと並んでいます。

しかし、これだけ粒ぞろいのものを書いていくのも相当大変なのでは。

ご苦労様です。出版時には83歳におなりだそうです。

 

日本は、

日本は、