爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

科学全般

因果関係と相関関係 栄養疫学では切実な問題 児林聡美さんのコラムより

FOOCOM.NET専門家コラムで興味深い記事を書いている、栄養疫学研究者の児林聡美さんが、相関関係と因果関係ということについて解説しています。 www.foocom.net 栄養疫学に限らず、「疫学」という研究手法はあるがままの実態を様々な方向からみていくことで…

「岩石から読み取る 地球の自叙伝」マーシャ・ビョーネルード著

著者は地質学者であり、岩石の研究をされてきた方ということです。 地球科学という分野では地球誕生から現在までの地球の経歴というものをダイナミックに推論されていますが、それらの根拠となるものは一つ一つの岩石の詳細な検討から生まれてきたものという…

「遺伝子改造社会 あなたはどうする」池田清彦、金森修著

ゲノム編集と言うことがここ数年急激に発展しているようですが、この本は2001年出版でありながらこういった事態を予測しそうなったらどうなるかということを取り上げています。 池田さんは有名な?生物学者で、金森さんは哲学出身の科学史専攻の方です。…

「科学者はなぜ一番のりをめざすか」小山慶太著

最近でも、医学や遺伝子関係などで科学的な発見の発表をめぐり熾烈な競争が繰り広げられていることが話題になることもありますが、ノーベル賞クラスの発見でもそういった一番乗り争いがあったこともよく知られていることと思います。 しかし、昔からそうであ…

「森を食べる植物 腐生植物の知られざる世界」塚谷裕一著

腐生植物というと、なにか字面からの印象で動植物の死体などの腐った物に生えているというイメージが強いかと思います。 実際にかつての植物図鑑などにはそのように書かれているものもあるようですが、実際はそうではなく、「生きているカビやキノコから栄養…

NATROMの日記で、高価な「先端医療検査」の実態を暴いています。

現役の内科医でありながら、もう長いことネットでニセ医学とも言うべきものの問題点指摘を続けられており、「ニセ医学に騙されないために」という著書も出版されている、NATROMさんのサイト「NATROMの日記」で、まだ研究途上であるのに一部のクリニックで高…

「日本人はどこから来たのか?」海部陽介著

著者の海部さんは国立科学博物館で人類史を研究していらっしゃいますが、台湾から沖縄へ古代の舟で渡るという実験を企画したということでニュースにもなりました。 その実験も、この本も現生人類がアフリカで生まれそこから世界中へ広がっていった過程を明ら…

「ゲノム革命 -ヒト起源の真実-」ユージン・E・ハリス著

著者は化石の形態観察という方法で進化をたどるという分野から研究を始めたものの、遺伝子解析による霊長類起源探求という方向に転換しその草分けの一人となったという研究者です。 その最先端の研究者が一般向けにゲノム解析による霊長類進化の過程の解明状…

もしも葉緑体が無かったら、生命の星地球は無かったかも

今ちょうど「森を食べる植物」という本を読んでいまして、(読み終えたら書評を書きますが)そこでは、葉緑体を失った”腐生植物”というものを扱っていました。 森を食べる植物 - 岩波書店 これは、自ら葉緑体で光合成を行うという働きを放棄して、森のなかで…

「現代数学小事典」寺坂英孝編

かなり古い本で、1977年出版ですが、大阪大学などで数学教授を歴任した寺坂さんが編者となり多くの数学者を著者として、現代数学のほぼすべての分野を解説しています。 もちろん、記述はほんのサワリだけであり、せいぜい術語の解説くらいまでしかできません…

「地理 8月号」古今書院編

また貰い物の雑誌「地理」の8月号です。 この号の特集は「◯◯マップを読む・活かす」と題し、6編の記事。 その他に「1967年の神戸土石流災害から50年」「学術用語と教育用語どうちがう?」、「鳥の目で地形や風景を見てみよう」といった記事が並んでいます。…

「ウイルスと地球生命」山内一也著

著者はウイルス研究に長年携わってきた方ですが、その最初の研究対象が天然痘ウイルスであり、その後もずっと病原体としてのウイルスに関わってきました。 一線を退かれた後は一般向けにウイルスについて啓蒙活動をしてきたのですが、その中で読者から「細菌…

「面白くて眠れなくなる元素」左巻健男著

PHPエディターズ・グループより出版されている「面白くて眠れなくなる」シリーズは相当数になりますが、左巻さんはその幾つかを担当されているようです。 これは、「元素」それぞれについて幾つかのエピソードを書いていくというもので、まあ「眠れなくなる…

FOOCOM.NET専門家コラムで、児林聡美さんが栄養疫学の手法解説

FOOCOM.NETで、栄養疫学研究者の児林さんが、「効果的なフレイルティ予防食は?」という題目でまとめた研究を紹介し、「栄養疫学」という学問自体の説明をしています。 www.foocom.net 栄養疫学とは、一言で言えば(言っちゃって良いのかな)「人がどのよう…

「たまたま 日常に潜む偶然を科学する」レナード・ムロディナウ著

「たまたま」とは、英語で言うところのRandomness ということです。 偶然性とか、乱雑性とか訳されますがばらばらに出てくるようなものといったことでしょうか。 物理学や数学で様々な事例が挙げられます。 ここでは、もともとは理論物理学者であった著者の…

「その〈脳科学〉にご用心」サリー・サテル&スコット・O・リリエンフェルド著

脳科学という分野が発達し、色とりどりの脳画像と称する絵をあちこちで目にするようになってきました。 リアルタイムで画像が見られるために、いろいろな質問をしたり、映像を見せたりした場合の脳の反応といったものを得られるようになり、それを様々な分析…

「時を刻む湖 7万枚の地層に挑んだ科学者たち」中川毅著

考古学的な時間の計測のために、炭素のアイソトープ14Cというものが使われますが、そこにはどうしても誤差が付き物でした。 大気中の14Cの濃度が一定であると仮定し、それが動植物に取り込まれると徐々に崩壊していくためにその濃度が減っていくのでその動植…

「年代で見る 日本の地質と地形」高木秀雄著

日本列島は火山や断層の上に乗っているようなもので、地震や噴火の脅威を常に受け続けているようなものですが、それらは非常に美しい風景ともなっており、観光資源としても重要なものです。 地球の歴史の中で生まれてきた地質や地層などの典型を見られるとい…

「人類とカビの歴史 闘いと共生と」浜田信夫著

著者の浜田さんは大阪市環境科学研究所に長く勤務され、その間住民からのカビなどの相談を数多く受けてきたそうです。 自分でも疑問を持った点など、すぐに実際に実験してみて解答を得るといったことに務められていた様子が、この本の記述からもよくわかりま…

「分類思考の世界」三中信宏著

ここで言う「分類」とは生物種の分類のことを指します。 私もかつての会社勤め時代の研究所在籍時には、微生物の分類同定ということをやっていたということがあり、生物の種の分類というものがどういう状況になっているかということには興味があるのでこの本…

「天気図の見かた」岡林一夫著

この本はかなり古いもので、発行は昭和50年5月、それから程なくして買っていればおそらく私が大学生の頃と思います。 今のように、天気予報が行き届いている時代とは違い、約40年前にはテレビでもニュースの時に一日数回といったものではなかったでしょ…

「日本列島人の歴史」斎藤成也著

歴史とはいっても、著者は国立遺伝研究所の教授で、DNAのゲノム情報からヒトの進化を考えるというのが専門ですから、そういった方向性の本です。 なお、この本は「岩波ジュニア新書」という、中高生が対象のシリーズに入っているものですが、その内容は非常…

「科学者の目、科学の芽」岩波書店編集部編

これは岩波書店発行の雑誌「科学」に掲載されたエッセイをまとめ再構成されたもので、著者は様々な分野の学者、研究者です。 その多くは自分たちの専門分野の知見から一般社会に広げて見る視野を紹介するというスタイルになっています。 まあすべての研究者…

まだ消え去らないサマータイム制の亡霊

私が目を覚ます時間はたいていは朝4時から5時の間です。 ちょうど夏至も間近の一番日の出の早くなる時期とは言え、九州の西端ではまだまだ明るくなる時間は遅く、4時ではまだ真っ暗。 ようやく5時過ぎになって明るくなってきます。 最近はほとんど聞かなくな…

「へんな数式美術館」竹内薫著

科学ライターの竹内さんが「数式」というものについて紹介されているものですが、扱われている数式はかなり高度なものが多く、数学や物理の専門家でなければ本当の意味はわからないものかもしれません。 しかし、あくまでも美術館ということで「見て楽しむ」…

「土の文明史」デイビッド・モントゴメリー著

最近、別のところの記事でこの本の記述について批判的に解説されているものがあり、興味を感じたのでもし行きつけの図書館にあれば読んでみようかと思って探したらありました。 sohujojo.hatenablog.com そんなわけで読んだのですが、なかなか読みにくいもの…

「環境問題を考える」近藤邦明さんが、風力発電の効率、収支についてまとめの記事

「環境問題を考える」というサイトで様々な発信をされている近藤邦明さんが、最新記事では風力発電の問題について書かれています。 http://www.env01.net/fromadmin/contents/2017/2017_03.html#n1183 風力発電装置も設置の早いものはそろそろ老朽化が進み廃…

FOOCOM.NET専門家コラムで、農業環境専門家の白井洋一さんがEUでの論争に言及

以前は農業環境技術研究所の研究者で、現在はフリーで活躍されているという白井洋一さんが、FOOCOM.NET専門家コラムの「農と食との周辺情報」で現在EUで続けられている論争について言及されています。 www.foocom.net その大きなポイントは3つ、除草剤グリ…

「福島原発事故はなぜ起こったか 政府事故調核心解説」畑村洋太郎・安部誠治・渕上正朗著

著者の御三方は東日本大震災時の福島原発事故に関する政府事故調査委員会のメンバーとして、調査し報告した方々です。 特に畑村さんはその委員長として取りまとめた方です。 「おわりに」に書かれているように、政府事故調の最終報告は2012年7月23日に公表さ…

太陽光発電のエネルギーペイバックタイムが3年とは本当か 近藤邦明さんの「環境問題を考える」で考証

エネルギーペイバックタイム(EPT) (またはEPR(エネルギープロフィットレシオ)というのは、太陽光発電のようなエネルギー変換装置の能力を評価し、その真の経済性を測るための基本的な性質で非常に重要な数値なのですが、これがどうやらいい加減な算出方…