爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「日本の地名」藤岡謙二郎著

以前にまったく同じ書名「日本の地名」という本を読みましたが、そちらは1997年出版の谷川健一さんの著書でした。 この本はそれよりもかなり古い、1974年出版、藤岡謙二郎さん当時京都大学教授の著書です。 谷川さんの本は地形やそこから来る表現に…

「黒曜石 3万年の旅」堤隆著

黒曜石というと石器時代から縄文時代までの間に石器の貴重な原材料として使われていた石ですが、その優れた品質のものは長野県の和田峠や神津島、隠岐の島など限られたところから採られたものです。 そしてそれがかなり遠く離れたところまで運ばれて使われて…

「NHKスペシャル 故宮 至宝が語る中華5000年 第1巻」 NHK取材班 陳舜臣 阿辻哲次著

故宮といえば中国の旧王朝時代の宮殿のことですが、それを中華民国成立以降は歴代王朝の財宝の博物館として使っていました。 その後、国共内戦の時に国民党が大陸内での戦闘で敗れ台湾に逃げる際にその多くを持ち去り作ったのが台北にある故宮博物院です。 …

「創氏改名 日本の朝鮮支配の中で」水野直樹著

第二次大戦までの歴史の中で、日本が植民地としていた朝鮮半島と台湾で現地の人々に日本風の名前を付けさせたという創氏改名ということがあったということは、おそらく多くの人が知っては居るでしょうが詳しいことはほとんどわからないままでしょう。 実施さ…

「日本が”神の国”だった時代 国民学校の教科書をよむ」入江曜子著

1941年は真珠湾攻撃から太平洋戦争が始まる年ですが、ちょうどその年にそれまでの小学校が「国民学校」と名を変え、中身も変えて国民の教育というものの本質を戦争のために邁進するためのものにしてしまいました。 著者の入江さんはちょうどその年に国民…

「南アジアの歴史 複合的社会の歴史と文化」内藤雅雄、中村平治編

最近読んだ本で、アフリカから出発した現代人の祖先はその後しばらくは南アジアで過ごし人口を増やしていたと知りました。 そこからさらに他の土地に移った人々のうち、インド・ヨーロッパ語族と呼ばれる人たちは再びインドの地に戻りそこで暮らしていくこと…

「小国主義 日本の近代を読みなおす」田中彰著

明治維新後に当時の政府の主要メンバーを米英に派遣した岩倉使節団というものがあったということは歴史の知識として知っていましたが、その派遣報告「特命全権大使米欧回覧実記」というものを、本書著者は研究の対象としてきました。 その中には当時のイギリ…

「インダス文明の謎 古代文明神話を見直す」長田俊樹著

古代の四大文明というと、エジプト・メソポタミア・インダス・黄河と歴史の授業で覚えさせられ、どれもが大河の流域に栄えたと言われてきました。 また、インダス文明にはモヘンジョダロやハラッパ遺跡で高度に計画された都市が建設されたとも習いました。 …

「DNAで語る 日本人起源論」篠田謙一著

以前に埴原和郎氏の日本人の二重構造起源論に触れ、衝撃を受けたのですが、それはそれ以前の単一民族幻想の日本人論が無意識に基盤にあったためにそれを完全に打ち壊したように思えたのでした。 しかし、その後のDNA分析の長足の進歩により古代人の人骨化石…

「沖縄人はどこから来たか」安里進・土肥直美共著

沖縄の考古学的考証について、考古学者で浦添市教育委員会の安里氏と古人骨研究者の琉球大学の土肥氏が対談の形で沖縄史を語り合っています。 1999年発行ですので、まだ旧石器遺跡捏造事件も明るみになっておらず、また埴原氏の日本人二重構造論も出てき…

「北朝鮮帰国事業 壮大な拉致か追放か」菊池嘉晃著

朝鮮半島から日本へ移住した人々は植民地支配時代に数十万人、そして戦争中に多くの強制連行の人々も来日しており、多くは戦争直後に帰国したのですが、朝鮮戦争時にもまだ60万人以上の人たちが残っていました。 彼らのほとんどは現在の韓国、朝鮮半島南部…

「沖縄歴史物語」伊波普猷著

著者は高名な沖縄歴史学者で、1947年には没しているのですが、これはその亡くなる寸前に書かれた沖縄歴史物語にいくつかの短編を併せたものです。 沖縄歴史物語というものは、1928年よりアメリカに伊波氏が講演旅行に出かけて主に沖縄出身の移民を前…

「邪馬台国 魏使が歩いた道」丸山雍成著

著者は歴史学者で九州大学名誉教授ということですが、ご専門は近世交通史ということで、邪馬台国など古代史専門ではないようです。 そういった方でもやはりひきつけられるものがあるのが古代史なんでしょうか。 もちろん、歴史学者の書かれた本であるためか…

「朝鮮史 その発展」梶村秀樹著

かなり古い本なのですが、中身はそれ以上に古色蒼然といったものです。 購入した本は第15刷で1986年出版ですから買ったのはその後のはずですが、初版は1977年発行です。 著者の梶村さんは朝鮮近現代史が専門ですが、一応朝鮮半島の古代の歴史から…

「真田幸村と真田丸」渡邊大門著

まさに今年はNHK大河ドラマで扱われている真田幸村(信繁)ですが、その最も有名なエピソードは豊臣家の最後の戦いである大阪冬の陣、夏の陣で徳川を苦しめたというところでしょう。 しかし、その実像はどうやらかなり歪められて伝えられていたようです。 こ…

「邪馬台国への旅 日本全国比定地トラベルガイド50」邪馬台国探検隊編

邪馬台国がどこにあったかということは昔から論争の種でしたが、ここぞその地という説が何十もあるという状態です。 この本はそのうち代表的な50の地域についてその地域を邪馬台国と提唱している人の名前、遺跡などの写真、地図、アクセス等の情報を簡潔に…

「時代小説で読む日本史」末國善己著

(まだまだ地震終息にはほど遠いのですが、これまで書き溜めた記事下書きも多いのでちょっとずつ公開していきます。これを書いた時はまだ静な時だったなと思い返すとこの1週間の出来事が夢のようです。本当に夢だったらまだ良いのですが、現実です) 文芸評…

「吉野ケ里、藤の木と古代東アジア」日中韓国際シンポジウム 出席者上田正昭、安志敏、金元龍、森浩一、西谷正、和田萃

かなり古い本ですが、1989年11月に京都新聞社主催で開かれた国際シンポジウムの記録です。 その直前の1985年に奈良斑鳩の藤ノ木古墳で非常に高度な副葬品が見つかり、当時の王族の墓ではないかと言われ、また1987年には佐賀の吉野ケ里遺跡の発掘調査結果が発…

「オーラル・ヒストリー 現代史のための口述記録」御厨貴著

「オーラル・ヒストリー」というものが何かということは全く知りませんでした。 著者によるその定義は「公人の、専門家による、万人のための口述記録」であるということです。 イギリスなどでは引退した政治家などが回顧録といった形の著述をする例が多いよ…

「トロイアの真実」大村幸弘著

トロイアの遺跡といえばシュリーマンが子供の頃に読んだホメロスのイリアスの記述をそのまま信じて発掘し、プリアモスの財宝を掘り当てたという物語が有名で、世界遺産にもなっていますが、実はそれほど単純な話ではないということを大学卒業後にすぐにトル…

「古墳のはじまりを考える」金崎恕、森岡秀人、森下章司、山尾幸久、吉井秀夫著

2003年に大阪府文化財センターが開催した文化財講座「古墳のはじまりを考える」の講義内容を元にまとめられたのが本書です。 市民向けの講座として開かれたものですが、内容はかなり専門的なものだったようです。 著者として挙げた人々が1回ずつの講義…

「通商国家カルタゴ」栗田伸子、佐藤育子著

カルタゴというと古代ローマと地中海の覇権を争い3回のポエニ戦争を戦ったものの最後には敗れて跡形もなく壊されてしまったということはよく知られているでしょうが、その実像はあまり分かっているとは言えません。 これはカルタゴを打ち破ったローマがその…

「天災と復興の日本史:再読」外川淳著

この本は2年余り前に一度読んでいますが、その読書記録を読んでみるとあまりにも簡単な感想だけであるのに驚きました。 著者の外川さんは地震や火山の専門の学者ではなく歴史家であるために、天災について詳しく書かれているわけではなく、どちらかと言えば…

「木簡・竹簡の語る中国古代」冨谷至著

木を削って作った木片に文字が書いてある「木簡」というものが古代の遺跡から掘り出され、そこに書いてある文字が解読されたというのは今でも時々ニュースになります。 紙と言うものが書写用の材料として使用される以前にはそのような物に書かれることによっ…

「死海文書Q&A」池田裕著

死海文書と言う名前だけは聞いたことがありましたが、その内容などはまったく知らないままでした。 今回、イスラエルのヘブライ大学で学び学位を取ったという専門家の解説を見ることができました。 死海文書というものは、一言で言えばユダヤ教経典の写本と…

「中国歴史名勝図典」瀧本弘之編著

中国の明清の時代には各地の名所旧跡を版画として出版し、それを楽しむという風習が広がりました。 江戸時代にはそういった図版が多数日本にも舶載され、知識人たちに歓迎されたそうです。 本書は出版社で編集者として働きながら中国版画の研究を続けてこら…

「古文書はこんなに面白い」油井宏子著

著者は中学校教諭のかたわら古文書研究を続けてこられ、その一般向けの解説書も多数出版されているようです。 古文書というものは江戸時代以前のものですが、ほとんどのものは筆書きの崩し字で書かれているために簡単に読むことはできません。 私も博物館で…

「考古学はどんな学問か」鈴木公雄著

慶応大学の名誉教授であった著者の鈴木さんですが、考古学に関するあれこれを記した本書出版の直前に亡くなっています。遺書のようなものだったのでしょうか。 考古学の主流は文献が出始める歴史時代の前の時代を扱ったものかもしれません。著者も縄文時代の…

「西南戦争 西郷隆盛と日本最後の内戦」小川原正道著

西南戦争は本書題名の通り日本最後の内戦と呼ばれている大きな反乱でした。 鹿児島で挙兵し陸路を北上して当時の熊本鎮台、熊本城での攻防戦と田原坂の戦いが有名ですが、いずれも南九州一帯が舞台であり私の現住所付近でも様々な跡地が残っています。熊本城…

「”常識”の日本史」井沢元彦著

「逆説」の日本史というシリーズを出版されている井沢さんですが、常識的な日本史というものは何かというと歴史学者がスタンダードだと認めたものとしています。 しかし、歴史学者の常識は一般人が普通に考えるものと相当違うという主張です。 歴史学者はた…

「<世界史>の哲学 中世編」大澤真幸著

「世界史」の方に惹かれて選んだ本でしたが、「哲学」の色合いが非常に濃いものでした。したがってその読み方も難しく結局理解できなかった部分も多いまま残ってしまいました。 著者の大澤さんは社会学博士ということですが、哲学の方向に進まれたようです。…

「天皇誕生 日本書紀が描いた王朝交替」遠山美都男著

著者は歴史学を専攻してはいますが、その後は大学で非常勤講師などを勤めておられたということで、少なくとも学界の中心の潮流に属しているとは言えないようです。 本書の内容も古代の天皇を論じているのですが、その手段としてはあくまでも日本書紀の記述を…

「人はなぜ歴史を偽造するのか」長山靖生著

歴史問題と言うと最近では戦争に関するものがホットな話題となっていますが、本書はそのあたりも若干は触れていますが、主要な話題は偽家系について、そして明治時代の南北朝の正閏問題です。 江戸時代の大名の大部分は先祖を偽っていたようです。徳川将軍家…

「地上から消えた謎の文明」吉村作治監修

エジプト考古学で有名な吉村さんの監修ということですが、世界中のかなり小さな遺跡についても記されており多数の人々の手がかかっているようです。 消えた文明というとナスカやストーンヘンジなど、その後の継承がなく今ではどのような文明であったかも不明…

「”鬼平”の江戸」今川徳三著

火付け盗賊改として活躍した長谷川平蔵を主人公とした池波正太郎の「鬼平犯科帳」は多くのファンを持ち、またテレビシリーズや映画にもなって大好評でした。 作者の池波さんが亡くなった後にも以前にましてファンを増やしているようですが、改めて文筆家で江…

「秩禄処分 明治維新と武士のリストラ」落合弘樹著

明治維新でそれまでの幕藩体制というものが崩れ、士農工商というものも無くなり、士族と平民とに改変され、士族も禄というものを失い原野開拓などに向かうものもあり、また士族商法という言葉で表されるように下手な商売に手を出してすべてを失ったというこ…

「名士の系譜 日本養子伝」新井えり著

明治期から昭和まで活躍していた有名人がその伝記を見ると生家は別で養子に迎えられその姓となったという記述が多いことに気付きます。 一方、現在の方がかえって政治家・芸能人など世襲が多いことも周知のような状況です。 家と言うものに価値があった時代…

「殷 中国史最古の王朝」落合淳思著

著者は立命館白川静記念東洋文字文化研究所の研究員ということで、本書も甲骨文字の解明から見た中国の最古の王朝「殷」の歴史の真実を明らかにするという立場のものです。 殷王朝の頃、王朝中心部の王周辺で行われた占いの直接の記録である甲骨に書かれた文…

「博多 町人が育てた国際都市」武野要子著

小学校の頃に福岡で過ごしたこともある私にとっては博多というのは懐かしさもありまた九州第一の都市としていろいろな関係もあるところです。 その博多の主に歴史的な発展過程について、長崎生まれながら九大を出て福岡大名誉教授と言う著者が解説をされてい…

「新・ローマ帝国衰亡史」南川高志著

18世紀のイギリスの歴史家エドワード・ギボンが「ローマ帝国衰亡史」を著し、その後も多数の研究者がローマ帝国の運命について様々な視点から著述してきました。 帝国化したことによる皇帝の独裁体制の強化、財政難からの重税、ゲルマン民族の侵入、キリスト…

「時代的の間違い探し」若桜木虔、長野峻也著

時代考証家の若桜木さんが、武術の専門家の長野さんとともに時代劇によく見られる描写のおかしな点を数々挙げたという本です。 こういった本は他にも読んだことがあるのですが、普通は時代考証だけ、武術だけといったものなのですが、本書ではその両方を取り…

「武田信玄 伝説的英雄像からの脱却」笹本正治著

山梨県出身の歴史学者の笹本さんですが、信玄の実像に迫りたいという研究者のようで、通常の英雄観、または侵略者観といったものとは違うような資料に準拠した信玄像を目指しておられるようです。武田信玄というと様々なイメージが持たれており、風林火山、…

「よみがえる文字と呪術の帝国 古代殷周王朝の素顔」平勢隆郎著

著者の平勢(勢の字は正確には別字)さんは古代中国史の研究者ですが、様々な点について独自の学説を展開し発表しているために多くの研究者からの反論を受けているようです。 この本は自説の一部を広く一般向けに解説しようというものですが、最終章には他の…

「芭蕉の真贋」田中善信著

著者は俳諧に詳しい文学者で、芭蕉についての研究も深くされているようです。 そのため、芭蕉関連の資料についてもその真贋から検討されており、それは他の研究者と異なる見解であることも多いようで、論争となることもあるようです。 本書はその一端を紹介…

「唐から見た遣唐使 混血児たちの大唐帝国」王勇著

遣唐使(遣隋使も含め)は7世紀に始められ、第20回目に菅原道真が正使に任ぜられながら廃止と決まるまでの約200年続けられて数千人の人々が唐に渡りました。遭難が相次ぎ犠牲者も相当な割合に上ったということや、阿倍仲麻呂が帰国を果たせず唐で死亡したと…

「中世日本の予言書 (未来記)を読む」小峯和明著

平安時代末期から室町時代にかけての中世期には、「未来記」と称される予言を記したという書物が流行したということです。 戦乱が続いた時代にあって、このような乱世は昔予言されていたということを主張する人々があり、聖徳太子などがその予言書を残してい…

「”ザ・タイムズ”にみる幕末維新」皆村武一著

幕末維新のころの状況は日本国内でも多くの記録が残り、さまざまな文学の舞台ともなっていますが、実はヨーロッパなどから来訪した外国人もそれぞれ情報を国に持ち帰っていました。 そして、特にイギリスではすでにその当時には多くの新聞が発行されジャーナ…

「世界戦史99の謎」武光誠著

著者の武光さんは歴史学者で大学教授ですが、一般向けの歴史解説書を若いうちから何百冊と書いておりそのリストを見ると圧倒されます。 ただし、その歴史観というのは極めて通説通りというもののようで、あまり疑問を持った見方というものはないということで…

「旧約聖書の謎」長谷川修一著

著者はオリエントの歴史、聖書の歴史を専門とする史学者で、ハイデルベルグ大学、テルアビブ大学などでも研究をしてきたという専門家です。 旧約聖書はユダヤ民族の神話として扱われていますが、以前は(そして一部の人は今でも)本当の歴史を記述されている…

「大江戸生活体験事情」石川英輔・田中優子著

この本も石川英輔さんと田中優子さんの共著のものですが、1999年にそれ以前の2年に雑誌に連載されたシリーズを一冊にまとめられたものです。 江戸時代の生活について細かな検討をされていた著者ですが、実際にそれを体験してみようというもので、不定時…