爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

フランスの「デジタル課税」にアメリカが反発。アメリカ政府が誰のためのものかはっきりする。

フランス政府はグーグルやフェイスブックなどのIT巨大企業を対象とした課税制度を作ろうとしています。

それに対し、そのような企業が存在するアメリカはその動向が自国企業を標的としたものとして対抗する動きを見せています。

www.bloomberg.co.jp

最近の言葉ですが「GAFA」(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)という風に言われているように、IT巨大企業が世界中の情報を集めて利用するという動きを強めているだけでなく、税金もほとんど払わずに巨額の財産を作っていると言われています。

 

それらに対するには、何らかの課税制度を世界各国が連携して作っていかなければならないということは、少し前に私も主張していました。

sohujojo.hatenablog.com

今回のフランスの処置はどの程度の効果があるものかは分かりませんが、少なくともGAFAを問題視しその行動から税金を引き出そうという方向性は間違いではないでしょう。

 

しかし、それに対しアメリカ政府は通商法301条を武器に対抗する構えのようです。

これで、アメリカ政府が誰のために政治を動かしているのか、まあもともとはっきりしていますが、さらに明らかにしています。

トランプがアメリカNo1などと言わずとも、GAFAがデジタルの世界で世界1なのは当然です。

彼らを野放しにしていけばさらに世界の不安定さが増すと思われますが、そのような見通しもなく、献金のみに動かされているのでしょう。

 

フランスがんばれ。日本も続けと言いたいけれど無理。

「終わっている臓器」坂井建雄監修

人間の身体というものは、不思議なほど精密に作られたようなもので、人体には無駄な部分など一つもないように思えます。

しかし、よく見てみるとなんとも残念と思えるような不都合なものが数々あるようです。

これは、地球上に最初に生まれた脊椎動物から人類に至る5億5千万年の進化の歴史が関わっています。

最初は魚の形から始まり、陸上に上がって爬虫類を経て哺乳類に変わってきた進化の中で、昔は大活躍した臓器だったものが無用になって小さくなり痕跡だけになったり、別の形に転用されているものもあります。

そういった「終わっている臓器」を紹介しようというのが本書の目的です。

 

よく「盲腸炎になった」と言われることがありますが、実際には盲腸の先に出ている「虫垂」という器官が炎症を起こす「虫垂炎」であることは知られているかもしれません。

盲腸自体も人間ではあまり役に立っていないように思えますが、さらにその先の虫垂に至っては何のためについているのか、すぐに炎症を起こしてしまう無いほうが良い器官のように思われます。

しかし、人間や肉食動物の盲腸は小さいのですが、草食動物では大きいのです。

草食動物は食べた植物の繊維質まで分解して栄養を取りますが、これには微生物の分解を利用します。

その、微生物を貯めておく器官が盲腸であり、さらに有益な腸内細菌を育てる場が虫垂であるようなのです。

盲腸から虫垂まで含めた器官が、腸と免疫の関係を司っているという仮説もあります。

そのため、かつては虫垂炎になると外科手術で切除していましたが、最近ではほとんど保存的治療で治すようにしているそうです。

 

誰でも足の小指、第5指をタンスの角などにぶつけて痛い思いをした経験がありそうです。

人間の感覚には、「固有感覚」といって自分がどういう位置に居てどのように動いているかを認識するものが備わっているのですが、その足の大きさが自身が考えているものより足の指1本分大きいようなのです。

つまり、人間の固有感覚では足の小指は正確に認識されていないことになります。

足の小指は退化傾向にあるのは間違いないようで、サルなどではまだ足の指を器用に動かることができますが、人間ではほとんど動かせません。

さらに、足の指には3本の骨があるのですが、小指では3本目が失われている人が多く、日本人では75%の人が2本しか骨を持っていないそうです。

ただし、足の小指はまったく不要になっているかというとそうではなく、事故などで足の小指を失った人はまっすぐ歩けないと言う報告例もあり、何らかの役割はしているようです。

 

腕の内側の手首の中央に、3cmほどの長さの「長掌筋」という筋肉があります。

かつては使われていたものの、現在では平行した位置の「撓側手根屈筋」などの筋肉が役割を肩代わりしているために、ほとんど使われなくなり、生まれつき失っている人が10%近くはいるようです。

この筋肉はもはや不必要と考えられていますが、最近スポーツ界で有名になりました。

野球選手によく見られる、肘靭帯損傷の治療法として行われる「トミー・ジョン手術」に使われるのがこの筋肉で、酷使で断裂した腕の靭帯を切除し、長掌筋の正常な腱の一部を移植するというものです。

長掌筋腱は、他にも鼻尖部の成型や、上顎腫瘍摘出後の欠損部の形成術にも使われる、「移植用器官」として有効な使い方がされています。

 

身体の不思議というものは、いろいろとあるものだと感じます。

 

終わっている臓器: もはや不要なのに存在する人体パーツ21の秘密

終わっている臓器: もはや不要なのに存在する人体パーツ21の秘密

 

 

本日見かけた迷惑運転「右左折の合図は30m前だろうが」

雨も上がったので少し散歩でもしてくるかと外に出てみました。

30分も歩けば必ず交通違反の車に出会います。

(単なるスピード違反は除く、これは外に出た瞬間に出会います)

 

今日は、やや広い通りを横断しようと、横断歩道の手前で待っていた時のことです。

(なお、横断歩道で歩行者がいるのに止まらないという違反は不問にします)

 

横の脇道からは、出ようとする車が2台、広い道の車が通り過ぎるのを待っています。

 

するとやけに遅い車が近づいてきます。

この辺では制限時速以下で走る車もたまに居ますので、まあ我慢して待っていました。

すると、その車は交差点の手前のスーパーの駐車場に、入ろうとしてハンドルを切ると「同時に」方向指示器を出しました。

 

必ず、曲がる30m手前で指示器を出せとまでは言いませんが、早めに出せば周りの交通がスムーズに流れるのに。

 

なお、この例は道路交通法施行令第21条の合図をする時期(曲がる30m前、および進路変更の3秒前」)という規定に違反していますので、一応「本日見かけた交通違反」とすべきですが、迷惑という側面が強いのでそちらにしました。

 

太っている人はなぜ「食べていません」と言うのか。身に覚えのある問題点

栄養疫学研究の児林聡美さんが書かれている文です。

hers-ms.com

栄養疫学とは、食事の量や質、内容について多くの人の現状を調査し分析してその中に含まれる傾向を探るという学問分野で、慎重な調査企画と手法を守り解析をすれば大きな成果も期待できるというものです。

 

今回の話題は、その調査手法の中でも、食事量の自主申告はあてにならないというもの。

栄養疫学の調査では、食事量を調べる方法はいくつもあります。

実際に食べる食事をすべて秤ではかるといった方法もありますし、調査票という用紙に本人に書いてもらうという方法もあります。

秤で測るのが正確でしょうが、すべてをそれで行うというのは手間と時間がかかります。

 

そんなわけで、簡単に多くの人の食事摂取量を調べようとするなら、本人に思い出して書いてもらうのが良いように思えます。

 

しかし、一番の問題点は、「正確ではない」ということです。

しかも、「必ず、摂取量は実際の量より少なく申告される」という特徴があります。

さらに、「太っている人ほど、実際の摂取量より申告量が少ない」というのです。

 

記事中にあるグラフによれば、BMI20程度の痩せた人では、申告摂取量÷実際摂取量(正確率とでも言いましょうか)が90%程度にとどまるものが、BMI36のかなり太った人ではそれが60%まで低下するそうです。

 

どうやら、太った人ほど食べたことを忘れてしまったり、少なく食べたと思い込むような心理的作用が働くようです。

 

こういった「申告誤差」というものは、この分野の研究では大きな問題となるそうです。

 

私も今でも少し太め。一時はかなり太っていましたので、その心理がよく分かります。

 

なお、上記の申告正確度の調査で、正確率がほぼ100%だった調査方法は、「他人が見て記録する」だったそうです。

なるほど。

 

 

 

トランプは見境なくイギリス全体を非難

イギリス駐米大使が極秘公電で本国に「トランプは無能」と報告した件で、トランプ大統領は大使ばかりでなくイギリス首相や英政府まで批判するという暴挙に出ています。

これこそ「無能」の証明でしょう。

www.bbc.comイギリスの大使が本国に何を報告しようが、それは彼の意見でありそれ以上のものではありませんし、当然ながら決して公表することなど予想したものでもありません。

 

しかし、それに対してツイッターといえど公表しているトランプの意見は公表以上の意味を持つものです。

イギリス政府が反発するのも当然でしょう。

 

アメリカを中心とする同盟関係の中でも、もっとも強固なものであるべき米英関係に大きな亀裂を入れようとしているということでしょう。

それが故意なのかどうか。

田中宇さんの観測に、ますます真実味が出てきます。

「遊楽としての近世天皇即位式」森田登代子著

ちょうど天皇の譲位があり、即位式などが話題となっている時ですが、本書はそれには関係なしに江戸時代の天皇即位式について書かれているものです。

 

著者の森田さんは、江戸時代の明正天皇の「御即位行幸図屏風」に出会ったときに衝撃を受けます。

その図に描かれているのは、御所の南庭で多くの庶民が即位式を見物しているというものです。

重箱や酒器を抱えた女性や、仮眠をしている女性、そしてなんと胸をはだけて子供に授乳をしている女性も描かれています。

今の(明治以降の)天皇即位式などというと、最高に厳格な儀礼であるというのが常識でしょう。

しかし、どうも多くの庶民が物見遊山のように即位式に出かけているような図に、天皇即位式というものを調査しようということになりました。

 

このような、天皇即位式の変遷を調べてみようとしたのですが、実は明治以降の方が制限が多く、簡単には触れられないようになっていました。

平安時代から江戸時代まで、1000年近く続いた天皇即位式と、明治以降のそれとは大きな断絶があったのです。

天皇制の強化は明治維新以降に徐々に強まっていたのでしょうが、すでに天皇即位式の変革は明治天皇のそれ(慶応4年)から始まっていました。

明治天皇みずから、古来の典儀に代えて「古礼に則って新儀を加える」と希望しました。

それまでの(江戸時代までの)典儀は多くは唐制の模倣であるという認識で、新たに「皇国神裔継承」の規範を立ち上げるというものでした。

そのため、中古以来の唐制礼服も廃し、唐風装束は一掃され、束帯と衣冠のみの和様に統一、出席者も政府高官、外国要人のみとして一般人は遠ざけられました。

このように、現在の感覚でみる即位式はその時に作り上げられたものだったのです。

 

戦国時代の混乱の中では、天皇即位式も大掛かりに行うこともできなかったのですが、江戸時代になりようやく落ち着いてきました。

さらに、幕府との関係も改善されると、天皇譲位の際には幕府からある程度の費用が出され、儀式も実施が可能となっていきます。

 

なお、江戸時代の天皇即位でも、庶民でも見ることができた部分と、誰も見てはならない部分があったのは事実で、それは「見せつける」儀式と「見てはならぬ」儀式と分けられます。

天皇即位式は庶民にも見せつける儀式、剣璽渡御などの秘儀に属する儀式は「見てはならぬ」ものでした。

 

この本では、庶民との関わりも深かった「天皇即位式」について、各種の史料に現れたものを描いていきます。

 

 1557年の正親町天皇の即位は、まだ戦乱の世の只中であり、ほとんど儀式らしいものもできないようなものでした。

その後、秀吉により戦乱が収められるとようやく天皇即位式も落ち着きを取り戻していきます。

さらに、江戸幕府との関係が改善すると幕府からの祝い金も出され、途絶えていた儀式の備品新調もまた実施されるようになります。

こういった品々を見るということも庶民の楽しみになっていきます。

 

皇室や公家が即位にまつわる儀式を組み立てていく変遷を見るというのも歴史研究としては興味深いものでしょうが、著者がもっとも興味をひかれまた本書で書きたかったのは、庶民側からみた即位式への視点だったようです。

京都の町内に出された町触でも庶民への連絡が為されました。

これには、即位式を知らせるというよりは、音曲などを禁止したり、特に厳しく火事の防止を命ずるという意味も強かったのですが、即位式を見に来ることを僧尼や剃髪した隠居などに禁じるという内容もありました。

ただし、厳密に守られては居らず、僧が入り込んでいたという記録もあるようです。

 

民衆が集中して押し合いとなり、死者まで出たこともあるとか。

これはあまりにも忌むべきことと思われ、その後は入場券を配り人数を制限したようです。

それでも、天皇の姿を間近で見るというわけには行かず、やや距離を置いてだったとか。

と言っても、庶民は遠ざけられた明治以降の即位式とは全く違ったものであったようです。

 

遊楽としての近世天皇即位式

遊楽としての近世天皇即位式

 

 つい最近、今回の天皇即位式の光景が報道されたものを見たばかりですが、その衣装など見ても、「これはいつ頃の風俗なのか、さほど古くもないだろう」と感じていました。

しかし、なんと明治以降に決められたものだったとは。

そんなことは報じられることもないでしょうが。

 

 

イギリス駐米大使が、本国への極秘公電で「トランプは無能」と報告した件にトランプ反撃

イギリスの駐米大使が、本国への報告で、「トランプは無能」と書いたことが漏洩してしまい、どうなることかと思っていたらトランプの反撃が始まりました。

www.excite.co.jp何をするかと思えば、大使とは「絶交」ついでにイギリスのメイ首相もボロクソにけなすという、予想通りの態度です。

 

まあ、「大人の対応」などというものとは対局にある人ですので、こんなものでしょうが。

 

それにしても、これを報じる報道で、英大使が「トランプを無能呼ばわり」とか「トランプを酷評」と書いているものがありますが、これはあくまでも極秘の母国向けの公電であり、公開などはまったく考慮していないものです。

それをきちんと評さなければいけないでしょう。

 

このような極秘扱いのものがなぜ漏洩したか、そこにも問題がありそうですが、これが「アメリカの国家機密の漏洩」と書いているところもありました。

トランプが無能なんて、国家機密でもなんでもなく公知の事実でしょうが。