爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

日韓関係悪化の理由

東洋経済オンラインに、日韓関係がここまで急速に悪化している理由という記事が出ていました。

headlines.yahoo.co.jp

戦争中の徴用工に対する賠償判決と、それに続く日本企業資産の差し押さえとともに、日本海の日本経済水域内での韓国軍艦艇による日本自衛隊航空機に対する照準レーダー照射という問題も解決の道が見えません。

 

これについて、上記記事にはアメリカの姿勢の変化を挙げています。

これまでも、同様の日韓関係の悪化が発生したことは数多くありますが、アメリカが介入して拡大を防ぐということはありました。

しかし、アメリカの現政権はそのような行動を取るかどうか不明です。

 

それを良いことに韓国政府はこれまでと異なる行動を目指しているようですが、これは北朝鮮とさらに関係を強めようとする意志の現れかもしれません。

 

記事ではこれまでの日本政府の姿勢はよく抑制されているとしていますが、今後はどのような展開を取るのか、アメリカの態度を考えながらのものとなるのでしょう。

 

日韓関係ばかりでなく、アメリカを含んだ三国間の関係が大きく変化しようとしている状況をはっきりと示しているのかもしれません。

 

権力分立と外交との関係はどうあるべきか 

徴用工判決の問題で、韓国の文在寅大統領が「三権分立なので司法の判断に従う」と発言したことに対し、日本では専門家から素人まで多くの意見が飛び交っています。

https://japanese.joins.com/article/993/248993.html

多くの意見では、外交は内政の三権分立より優先すべきであり、それを口実の韓国政府の行動を批判するというものです。

 

私も、素人ながら泥縄で少し勉強してみました。

なお、普通は「立法・行政・司法」の三権が独立するということから、「三権分立」と言いますが、その他に公務員人事と監察権を独立させた台湾(中華民国)の例もあることから、数を指定せずに「権力分立」と呼ぶことにします。

 

(なお、この台湾の五権分立は卓見かと思います。私も繰り返し述べているように「国会議員に選挙制度を決めさせるな」というのが考える必要のある問題です)

ja.wikipedia.org

さて、それでは韓国はどうするべきでしょうか。

大統領は行政の責任者であり、議会や司法は直接の支配下にはないようです。

外交は行政担当者の実施行為ですので、大統領がそれにあたりますが、もしも司法判断が外交方針と異なる場合は司法を説得する必要があり、もしも反対する場合は強権発動となるでしょう。

そうなれば、権力分立とはなりません。

 

どうやら絶対的に正しいと言える対応法はないようです。

 

 

司法と行政の軋轢というものは起こりがちだと思いますが、司法のトップ、日本では最高裁判事アメリカでは連邦裁判所判事でしょうが、それが独立できるかどうかは問題となります。

 

日本のような議院内閣制ではアメリカなどの大統領制度と異なり、行政と立法はほとんど一体となりがちであり、現に日本の現状はほぼ政権の言うがままでしょう。

最高裁判事も日本では内閣の任命によるため、司法独立性も危ういものです。

一応、最高裁判事の国民審査というものはありますが、形だけです。

ちなみに、私はいつも判例を元にバツをつけることとしていますが、このようなことをするという人はほとんど居ないでしょう。

 

アメリカの連邦最高裁判事の指名はよくニュースになりますが、保守派とリベラル派とがはっきりと分かれるというのは興味深いことです。

日本など、裁判官によっての差は極めて小さいでしょう。誰がなっても同じ。

アメリカの最高裁判事というのは、任期が決められておらず終身ということです。

これも、影響力の保持には大事なことでしょう。

日本の最高裁判事の在任期間はどの程度なのでしょうか。もう定年直前でしょうから短いということでしょうか。

 

なお、司法の問題とは離れますが、行政の最高権力者である首相による議院解散の問題も大きいものです。

安倍政権になって特に目立ちますが、それ以前にも見られたように首相のやりたい放題解散というものは問題でしょう。

よく地方自治体などに見られるように、市長の辞職決議を議会がしたら市長が議会を解散するというのはまだ分かりますが、それもないのに政府の都合と思惑で衆議院解散というのはどう見てもおかしい。

 

こういったところを再考するような憲法改革であれば十分に議論の価値はあると思うのですが。

 

どうやら「権力分立」構造というのは、かなり奥深いもののようです。

これを機会にもう少し勉強してみましょうか。

 

 

 

 

田中宇さんの「国際ニュース解説」より、トランプと米民主党

「国際ニュース解説」を頻繁に更新され、アメリカの情勢を中心に興味深い分析をされている田中宇さんですが、トランプをめぐりアメリカの民主党も変化が見えるということです。

 

tanakanews.com

田中さんはこれまでも一貫してアメリカの「軍産」つまり軍部と産業界の複合体がアメリカを実質的に支配し、共和党民主党もその手足であり、その利益のために動いているという見方を示してきました。

 

トランプ大統領はその軍産複合体に対して巧妙な手を使って挑み、ある程度の成果を上げているということなんですが、どうもトランプを買いかぶり過ぎているように思えてなりません。

 

それはともかく、田中さんによれば軍産の代弁者そのものであったヒラリー・クリントンの失敗を見て、民主党の軍産協力者もかなり変化の兆しが見えるということです。

 

マサチューセッツ州上院議員で、軍産系と見られていたエリザベス・ウォーレンもその立場を変えてリベラル系に変身した上で大統領選を目指すとか。

 

共和党では軍産系の最後の牙城と言えるロムニー上院議員が大統領候補を目指すと表明したが、立場は弱いようです。

 

トランプの軍産弱体化の戦略は徐々に有効になり、海外の米軍撤退も進み、中東、EUに続いて韓日からも撤兵を目指すということですが、どうなりますやら。

 

田中さんの分析も非常に面白いのですが、心の中では「そんなわけないだろう」と感じてしまいます。

「内田樹の研究室」より、「株式会社化する日本について」

思想家の内田樹さんの「研究室」というブログに載っている、「株式会社化する日本」についての話です。

blog.tatsuru.com

非常に解りやすい例えで、スパッと言い切る。さすがの筆力と感心します。

 

内田さんが、鳩山・木村鼎談というものをやったようで、その内容を単行本にしようと準備されているようです。

(鳩山・木村という方々がどなたかということが明記されていませんが、多分あの人達でしょう)

 

今回は、その中から第2章に書かれる内容の「株式会社化する日本」です。

(出版する本の内容を前にばらしてしまって良いんでしょうか)

(まあ、本の宣伝なのかもしれませんが)(買いたくなる人も居るでしょう)

 

現在の安倍政権は今まで知っているすべての政権の中で際立って「株式会社」的性格を持っているということです。

あの、政治的見識も指導力も統率力もなく、器量も小さい人物がこれほど長く政権を維持している理由を挙げています。(私の意見ではありません。内田さんが書いています)(まあほぼ同意見ですが)

大した政治的見識もないし、指導力もない。統率力もないし、器量も小さな人物が、これほど長期にわたって政権を安定的に維持できているというのは、実際には彼の政治的な力というよりも、彼のキャラクターが株式会社のCEOのキャラクターに期待されているものと一致しているからだと思います。

株式会社化した政権の性格は、「当期利益第一主義」です。

本当は株式会社でもこれは良くないことだと思いますが、これがアメリカから全世界に広まっています。

先のことは考えないのではとても政権とは言えないと思いますが、これが実情でしょう。

 

そして、官僚もジャーナリストも、安倍におもねることばかり考えています。

これも株式会社の性質の一つなんでしょうか。

 

かつて、大阪維新橋下徹大阪市政を批判する時に「民間では考えられない」と言ったというのは私もうっすらと覚えています。

私自身もそれに違和感を感じなかったのですが、実はこの言葉自体、大きな問題を含んでいるそうです。

これは、すなわち市政を「株式会社化」しろということであり、そんなことをしたら行政の自殺でしょう。

しかし、ほとんどの人はそれに賛同してしまった。

今日の安倍政権認知も同様の状況から生まれているのでしょう。

 

最後の文章も内田さんの主張がはっきりと分かります。

だから僕が政権批判をすると、びっくりする若い人がいるんです。「え? 何、それのどこがいけないんですか?」って。「だって、うちの会社と同じですよ」って。彼らは安倍さんが社長で、自分たち国民はその会社の従業員だと思っている。だから、「従業員が経営方針に口出す会社なんかないでしょ」ときょとんとしている。「経営方針の適否を決定するのは従業員じゃなくて、マーケットでしょ」と言うのです。そういう「従業員マインド」と対米外交における「属国民マインド」とがブレンドされて、いまの日本の有権者たちの気分というものを形づくっている。だから、安倍政権の登場には、ある種の歴史的な必然性があったんだと思います。

やはり、安倍だけ引きずり下ろしても現在の状況は変わらないようです。

国民から変えないと。

 

「内田樹の研究室」より、”「貧乏くさい」2019年の年頭に”

内田樹さんの「研究室」では本年年頭にあたりという題で「貧乏くさい」というキーワードが出されました。

blog.tatsuru.com

60年代の高度成長期では、まだまだ暮らしは貧しかったものの、植木等のセリフどおりに「そのうちなんとかなるだろう」という気分が社会の中に広がっていました。

 

実際にはそのようになるという根拠はあまり無かったのですが、皆がそう思い込んだことで実現したということです。

 

現在はどうかと言えば、企業は空前の利益を上げているとはいえ、「明日はどうなるか分からない」と考えて内部に貯め込むばかり。

それは庶民でも一緒で貯金を必死に守る一方です。

 

そういう状況を、内田さんは「貧乏くさくなった」と表現します。

 

確かにそうでしょう。

 

ただし、だから景気回復、経済成長につながらないのでいけないということにはならないと思います。

もはやそのような思い込みで消費を増やしてそれが経済成長につながるなどという幻想を抱くべきではないと感じます。

しかし、企業や富裕層の財産溜め込みは許す必要はありません。せいぜい吐き出させなければならないでしょう。

 

「奥州藤原氏五代」大矢邦宣著

平安時代末期に奥州平泉を中心に華やかな文化を誇った藤原氏が勢力を持ちました。

当時は大量に産出した金と、軍馬の供給で経済力を付け、平泉の中尊寺に残る金色堂はその当時の面影をわずかながらも見せてくれます。

 

この本では、その藤原氏の五代の歴史について細かいところまで教えてくれます。

著者は、本書出版当時は岩手県立博物館の首席専門学芸員であった大矢さんで、平泉文化に対する愛情が伝わってきます。

 

なお、通常は「奥州藤原氏四代」として、藤原清衡、基衡、秀衡、泰衡の四代を呼ぶのが普通ですが、著者は清衡の父の藤原経清の存在が大きかったとして、そこから話を始めています。

 

奥州はかつては大和朝廷に服さないエミシの国でしたが、坂上田村麻呂などにより大和の支配下に入るようになり、服属したエミシの後裔や都から流れてきた人々が勢力を強めていきます。

10世紀から11世紀にかけて、安倍氏がその一帯を支配するようになります。

安倍貞任が最も勢力を強めますが、この安倍氏もエミシ後裔と考えられますが、都から奥州支配のために派遣された鎮守府将軍安倍朝臣貞行という人も居り、それと無関係とも言えないようです。

 

この安倍貞任を討伐するために遣わされたのが源頼義で、前九年の役と呼ばれる合戦を戦いました。

強力な安倍氏を滅ぼすまでには9年間かかったという苦戦でしたが、謀略をめぐらしてなんとか滅ぼします。

そのときに安倍氏に協力したとして捕らえられ処刑されたのが、藤原経清でした。

経清は朝廷側の役人でしたが、裏切りを疑われて身の危険を感じ、安倍氏側に寝返ります。

そして源軍を苦しめたために、捕まった後は極刑に処されてしまいます。

 

その時にはまだ安倍氏は勢力を残していたのですが、源軍に加勢して安倍氏を掃討したのが清原武則でした。

清原氏安倍氏の勢力と対抗できるほどに成長しており、その後は奥州一帯を勢力下にいれます。

この清原武則に、藤原経清の妻と子が養われることになります。

この経清の子が藤原清衡です。その時には年は七歳。殺されなかったのはその母親が美女だったからということです。

 

前九年の合戦の恩賞は、清原武則に厚く鎮守府将軍に任ぜられました。奥州出身者としては初めての抜擢でした。

その後は20年に渡り清原氏が奥州を支配します。

清原武則の子の清原真衡家督を継ぐのですが、母親の連れ子の清衡が勢力を持つのを憎み争うことになります。

しかし、そのさなかに真衡は死に、当時将軍であった源義家の裁定によりその弟の家衡と清衡に半分ずつを相続させます。

そのために家衡が清衡を襲い、妻子を殺害するという事件になります。

その後、源義家清原氏を滅ぼすのが後三年の合戦ということになり、藤原清衡が安倍・清原の領地を合わせて領有していくということになります。

 

清衡は奥州六郡を領有し、平泉を本拠地と定め館を構え、中尊寺を建立し金色堂を建てます。

これには奥州の第一の特産品であった金をふんだんに用います。

さらに、金と銀を用いてそれで字を書いたという「紺紙金銀字一切経」という逸品も作ります。

これは白河法皇が作った「紺紙金字一切経」のさらに上を行くようなものでした。

 

しかし、相次いで金を大量に都の朝廷から納入を求められ、さすがの奥州の砂金も尽きてしまいます。

そして、最後には源義経をかくまったために鎌倉の源頼朝将軍に攻められ、平泉四代の藤原泰衡義経を攻め滅ぼしたものの、それで許されるはずもなく、頼朝自らが奥州征伐に当たり、藤原氏の政権は滅ぼされたのでした。

 

金色堂だけは今にその繁栄の影だけを残していますが、都や鎌倉の政権からも恐れられたその勢力は今では想像もしづらくなっているようです。

 

奥州藤原氏五代―みちのくが一つになった時代

奥州藤原氏五代―みちのくが一つになった時代

 

 

夢の話「お寺の本堂で講演」

年のせいか、最近見る夢は昔の若かった頃の出来事や願望などが多いのですが、今日の夢はまったく関係のないものでした。

 

場所は山の多いところ、父母の故郷の長野のような感じです。

 

私は年齢不詳、まあかなり体の自由が効きそうなので若いイメージです。

 

なぜか仕事はしておらず、寺の作業を手伝っているようです。

 

すると、なぜか依頼が来て別の寺に出かけて聴衆に向けて講演をしてくれという話。

それも今日すぐにということで、車に乗せられて少し離れた別の寺院へ。

 

到着するとすでに本堂には多くの人が着席して待っています。

用意した資料はほんの数ページ、これで2時間しゃべるのか。

 

まあとりあえずトイレに行って気を落ち着かせてと思ったら、目が覚めてトイレに行く時間でした。

 

私も人前で話をするのは苦手な方で、会社に在職中でも人が多いところで話をする時はすぐにアガってしまいしどろもどろになりました。

 

それでも年の功か、徐々にマシになっていき最後の勤め先では会議の司会などもできるようにはなりましたが、なにか気の利いたことを言ってやろうと思ってもすぐに滑るといった状態は解消はされませんでした。

 

そのトラウマが残っているのか。夢にまで見るというのはそうなのかもしれません。