爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

南海トラフ地震の被害額は最悪の場合1400兆円 と土木学会が発表?

100~200年ごとに起きると言われる南海トラフ地震の発生が近づいているという予測がされていますが、その被害額は最悪の場合1400兆円に達し、日本は経済だけでなく国そのものの存続も危ぶまれると言う危険性があるということが、「土木学会」により発表されました。

www.nikkei.com

最近も南海トラフ地震についての本も読んでおり、この地震は定期的に必ず起きるということも知りましたが、具体的に金額まで予測されるとその恐ろしさというものが強く感じられます。

 

ただし、その周期が100年と200年では大きな違いがあり、前回の昭和南海地震が1946年ですから100年よりちょっと前だとすればあと10年くらいでも起きるかもしれないわけですが、200年だとすればまあ今生きている人の全てはもう亡くなっていると思えばだいぶ先とも言えるわけです。

 

ただし、100年先だとしてもその対策には非常に大きな予算と年月がかかるわけですから、すぐにでも取り掛かり計画的に進めなければならないのは間違いないことです。

 

被害の大きな部分というのは地震の揺れによる破壊や津波被害、そして重要なのは交通インフラ特に新幹線と高速道路の破壊で東西の交通が破断されることでしょうから、その強化ということになるのでしょうが、それ以上に重要施設の集中を防ぐということも大切なことになります。

これは、国の施設もそうですし、民間企業の工場なども当てはまることです。

100年先を見据えた計画ということが必要となるところです。

 

この発表でショックを受けていたら、本日朝のニュースでは「東京・大阪の高潮被害でも100兆円」と土木学会が発表と報じていました。

www3.nhk.or.jpここで、「ちょっと待てよ」と思ってしまったのは、私が猜疑心が強い性格でしかも育ちが悪く貧乏性のためばかりでもないでしょう。

国土交通省や、防災関係学会、国土建設企画関連の学会等の研究であれば疑問はもちろん感じなかったでしょうが、どうも「土木学会」というのが引っかかってしまいました。

 

もちろん、これらの数字が「嘘」だとか「大げさ」とかは決して思っていませんが。

それでも少しは我田引水が混じってませんか。

 

まあ、しかしそのような下衆の勘繰りはやめておいて、とにかく国家の危機を自覚し、公私混同の首相などは早く取り替えて速やかに議論を始めるべきでしょう。

 

「洗脳の世界」キャスリーン・テイラー著

「洗脳」と言う言葉が生まれたのは、朝鮮戦争の時でした。

もちろん、同様の事例はそれ以前にもいくらでも存在したのでしょうが。

 

国連軍の主力として参戦したアメリカ軍の兵士の中には戦闘中に捕虜になり、その後捕虜交換等で帰国した時にはまるで根っからの共産主義者のように毛沢東を賛美しアメリカを批判するという者が見られました。

 

このような事態がなぜ起きたのか、それを調べていく内に中国軍の捕虜収容所で「洗脳」ということが行われているということが分かりました。

英語で「Brain washing」と言いますが、これは中国語の「洗脳」の直訳でした。

 

中国軍では捕虜に対して拷問とともに教育や思想改造などを効率的に組み合わせ、彼らの望むように捕虜のアメリカ人の思考を変化させるということが行われていました。

 

洗脳、あるいはマインドコントロールと言うことが問題となるのは、その後も数多くの事件とともに明らかになりました。

カルト宗教の場合もそういった事例が頻発しています。

 

チャールズ・マンソンが立ち上げたカルト集団は富豪の娘のパトリシア・ハーストを誘拐しましたが、その数ヶ月後にはパトリシアはマンソンの信者たちと一緒にシャロン・テートなどを襲い殺害するという事件を起こしました。

パトリシアが洗脳されていたと裁判の弁護士は主張しましたが、それは認められませんでした。

 

ジョージ・オーウェルSF小説、「1984年」はこのような洗脳が社会の隅々まで行き渡っているという状況を描き表していました。そのような社会がいつかは来る可能性があるということを読者もみな共有できました。

 

本書著者のテイラーは脳科学者ですので、そういった洗脳の事例の紹介だけでなく、脳の機能や神経科学の概要まで詳細に説明しています。

ただし、その部分はやや一般読者には難解かもしれません。

 

洗脳と言うことが無くても、人間の心理や意識は徐々に変わっていくもののようです。

それをうまく利用して都合の良いように変えてしまうと言うことができるのでしょう。

洗脳というと、共産主義政権や独裁者がやりそうなことというイメージもありますが、そればかりではないようです。

 

洗脳の世界―だまされないためにマインドコントロールを科学する

洗脳の世界―だまされないためにマインドコントロールを科学する

 

 

恥も外聞もない安倍首相のトランプ詣で

G7開催の直前に、安倍首相はアメリカを訪れトランプに懇願の会談をしたそうです。

しかし、あまりにも恥ずかしいためか、あまり報道も無く取扱は軽いようです。

toyokeizai.net

何度も日米首脳会談を繰り返しているとはいえ、その成果はほとんど上がらず、鉄鋼アルミから自動車までトランプの冷たい扱いは際立っていますが、今度の米朝会談でも日本のことなど触れられるはずもなく、あっさりと切られそうです。

 

外交上手と言うことであちこち飛び回っている安倍首相ですが、とんでもない話で何の成果もなくウロウロ回っているだけのようです。

行くだけ金のムダ。もしかしたら国内に居ると国会で追求が厳しいから居たくないだけなのでしょうか。

 

しかし、あの見苦しい顔もだんだんとひどい表情になってきました。

最初の内閣投げ出しの時の泣き顔に近くなってきたようです。

いよいよ最後が近づいたか、しかしこの尻拭いをさせられる次の首相は誰になるのやら、大変なことでしょう。

微生物の話 乳酸菌 その2

乳酸菌の話といってまず思い浮かぶのは「健康効果」でしょう。

昔から整腸作用があると言われていますし、最近ではいろいろな研究が進み、免疫力増強効果があるとか、内臓脂肪を減らすとか、甚だしいのは制ガン効果があるといった話まであります。

昔からの乳製品メーカーだけでなく、一般食品メーカーや製薬メーカーなどでも研究を進めているようです。

 

また、乳酸菌も菌種や菌株によっても差が大きいと言ったことも言われていますし、本当のところはどうなんだという思いも持たれても仕方ない状況でしょうか。

 

実は乳酸菌の健康効果といってもまだ確固とした証拠があるわけでは無いようです。

biz-journal.jp

引用した記事の中に出ている、欧米の研究機関による実証試験でも乳酸菌の腸炎予防効果、風邪に対する免疫力増強のいずれにもはっきりとした有効性は証明されていません。

 

しかし、これは私も実験担当の研究者から直接聞いたことですが、in vivoの細胞試験などでは乳酸菌の様々な有効性が見られるそうです。

それが実際に人体で証明されるまでには至っていないにしても、いずれは何らかの有効性が証明されるかもしれません。

 

なお、こういった機能性は必ずしも「乳酸菌」であることと関係はないように思います。

「乳酸菌であること」というのは「乳酸発酵で乳酸を作り出すこと」ということですが、様々な健康効果を示す機能性というのはそれとは関係なかろうということです。

つまり、乳酸菌でも菌種、菌株によってその効果はまったく異なるであろうということが推論できます。

「乳酸菌だから良い」とは言えないようにも思います。

 

 

最近の健康食品のCMでは、「乳酸菌も含まれる青汁」といったものが多数流れています。

その数も、1杯に乳酸菌100億個なんていうものもあり、すごいなと驚く方も多いでしょうがそれはどの程度のものでしょうか。

 

ヨーグルトは乳酸菌にとってはかなり良い条件で、その菌数も多いと思います。

ヨーグルトにある乳酸菌の含有量

それによれば、法令で決まっている最小数が、ヨーグルト100ml中に10億個以上となっており、実際には多くのヨーグルトはその10倍以上の乳酸菌が入っているそうです。

 

しかし、上記のCMが真実であるなら、青汁1杯分の中にヨーグルト100mlに含まれるのと同じくらいの乳酸菌が入っていることになります。

 

ヨーグルトは乳酸菌を生育させながらその味や香りを作り出していますが、まさか青汁でそのような乳酸菌培養ができるわけはありません。

 

これは、実は専門の培養会社があり、そこがタンク培養で大量の乳酸菌を作り出しているようです。

ネット情報で検索したら、受託して培養する会社のCMが載っていました。

www.sanei-toka.co.jp

もちろん、この会社が青汁用の乳酸菌を培養しているとは限りませんが、同じような会社がいくつもあるでしょうから、どこかの会社が受託している可能性が高いものと思います。

 

はっきりとした工程や条件は分かりませんが、おそらく何らかの合成培地に培養し、十分に生育した乳酸菌を遠心分離か膜分離で集めて湿菌体または乾燥菌体として納入でしょう。

 

ちょっと疑問を感じるのは、第1回でも説明したように、乳酸菌には栄養要求性が厳しく、いろいろな栄養を入れなければ生育しないと言う性質があるということです。

これは、場合によると培養する培地にいろいろと成分を足さねばならず、コストが上がる可能性があるのではと思うのですが、そこのところ大丈夫なんでしょうか。

 

 

まあ、このような状況ですから、「乳酸菌を入れました」という食品はさらに増えてくるでしょう。

培養受託の会社も業績が上がるかもしれません。

 

もう一つの「第三の敗戦」田中良紹さんの面白い着目

「第三の敗戦」という言葉はこれまでにも何度も使われているようで、いずれも文句なしの敗戦であった太平洋戦争敗戦と同じほど現在の状況が厳しいということを表現するためにそう表現されています。

 

ジャーナリストの田中良紹さんが発表された文章は、今度の米朝会談から起こるであろう状況に、日本は完全に乗り遅れるだろうという意味で、第三の敗戦と表しています。

ch.nicovideo.jp

現代史において世界の流れを変えたというポイントは、第二次世界大戦集結、ソ連崩壊による冷戦集結だったというのは間違いない評価でしょうが、田中さんはこれに加えて今回の米朝会談から進む可能性のある朝鮮戦争集結がそれらと同等の意味を持つとしています。

そして、これまでの2回と同様、今回も日本は「敗戦」を迎えるだろうと評しています。

 

一度目の第二次世界大戦では、文句なしの敗戦であり、戦勝国のアメリカに完全に従うのは仕方のないことでした。

一度目の敗戦で戦勝国である米国は天皇制を残す代わりに日本を非武装国家にし、丸腰の日本を防衛するため沖縄を米軍の軍事拠点にした。古関彰一、豊下楢彦著『沖縄 憲法なき戦後』(みすず書房)によれば「象徴天皇制」と「戦争放棄」と「沖縄要塞化」は米国の戦後対日政策の三本柱でそれらは互いに密接に関連している。

アメリカの思うように日本は作り変えられましたが、その中で日本の指導者は巧妙に立ち回ったとも言えます。

 

しかし、二度目のソ連崩壊の際には日本政府は惨めなまでの失策を繰り返し、ソ連の代わりに日本をアメリカの攻撃対象に据えてしまうということをしてしまいました。

ソ連崩壊は米国を「唯一の超大国」にし米国は新たな戦略を策定する。ソ連に代わる敵は米国経済を侵食する日本と断定され、軍事負担を抑えて成長した日本経済の力を削ぐため日本経済を米国と同じ土俵に乗せ、軍事的隷属化を押し進めることが必要と考えられた。

日本に米国製兵器を買わせ、軍事負担を増大させ、自衛隊を米軍の肩代わりに使う。そのため欧州の冷戦は終わらせてもアジアの冷戦を終わらせてはならない。中国と北朝鮮を日本に脅威と思わせ、米国の軍事力にすがらなければ生きられない状況を作り出す。

 

これしか選択肢がなかったかと言えばそうではありません。

しかし、アメリカに盲従するという最悪の選択をしたために、かえって世界の中での立場をなくしました。

 

そして、次の激変が近づいています。

トランプは「兵器ビジネスに異常に肩入れする大統領」だそうです。

北朝鮮とは緊張緩和を進めるように見せながら、韓国や日本にはアメリカの兵器を買わせる手段を取るでしょう。

アメリカの言いなりの日本政府はそれに乗るしか手段がないのでしょう。

アメリカばかりでなく、ロシアも中国も、そして北朝鮮もできるだけ利益を上げられるような手段を取ってくるはずです。

しかし、「尖閣」「竹島」「拉致」「慰安婦」など、どれをも解決に向かう施策を取ることもできずに、各国との膠着状態を解くこともできず、このまま進めば間違いなく「第三の敗戦」になるだろうということです。

 

なかなか切れ味鋭いという評論であったと思います。

 

「LPレコードに潜む謎」山口克巳著

私らの年代のものには懐かしい、LPレコードですが、実はLPの歴史というものはわずか30年に過ぎなかったそうです。

SPからLPとなってレコード文化が一気に広まりましたが、やがてCD化が恐ろしい勢いで進み、あっというまに事実上LPレコードは終了してしまいました。

 

しかし、その30年の歴史の中にもさまざまな変化が次々と起きていたために、LPといってもその中身は千差万別、いろいろな問題を含んでいるそうです。

 

著者の山口さんは、本職はデザイナーということですが、若い頃から音楽に親しみ多くのレコードを聞いてこられたそうです。

そのジャンルもクラシックからジャズまで、しかもその聞き方も非常に深いものであり、わずかな違いにも気がついてしまいます。

 

レコードの録音も、ごく初期にはダイレクトカッティングといって音楽を直接レコード盤に刻み込むと言う方式が取られてのですが、すぐにテープレコーダの発達で直接の録音はマスターテープに録り、そこからレコードにカッティングするという方式に移行しました。

その技術のおかげで、多重録音などといった録音方式も発達しましたが、一方では実際に皆で一緒に演奏ということは、クラシックのオーケストラやジャズセッションなどに限られ、ほとんどの録音では演奏者がバラバラに演奏すると言うスタイルになってしまいました。

 

また、テープからレコードへのカッティングと言う工程ではその担当者がかなり音質を左右できるということになり、演奏者の意図以上にカッティング技術者の意向が最終製品のレコードに現れると言うことになってしまいました。

そのため、レコード会社によって傾向が違ってくるということにもなりました。

 

レコードの材質は、比較的硬い塩化ビニール類と、比較的柔らかい酢酸ビニールの共重合体に、少量のカーボンブラックや滑り剤、帯電防止剤などの添加物を加えて作られます。

それも時代により変化してきたそうで、モノーラル盤の初期などは厚さ、重さも異なります。その割合により音にも影響が出ていました。

 

レコードによっては「再生が難しい」ものも多かったようです。

これはレコードのカッティングがおかしかったわけではなく、再生装置の調整を合わせるのが難しいという意味だそうです。

 

レコードというものがあまりにも奥深い世界であったということに、今更ながら初めて気が付きました。

それにしても、このような微妙な音の違いが聴き分けられるというのはすごいものだと感心します。

私など、多少の違いがあってもほとんど分からなかったということでしょう。

 

しかし、それでも楽しめた自分で良かった。(この著者ほど細かいことが気になっていたら、なかなか音楽を楽しむことができなかったでしょう)

 

LPレコードに潜む謎: 円盤最深部の秘密を探る

LPレコードに潜む謎: 円盤最深部の秘密を探る

 

 

「骨太の方針」っていったい何のつもり。

またコリもせず「骨太の方針」と言う名をつけて政策発表のようです。

mainichi.jp

社会保障費の抑制だけしかできずに、何が”骨太”やら、よくも恥ずかしくもなくその名を使えるものです。

 

骨太の方針とは、2001年に当時の小泉内閣が、規制改革と財政再建を「聖域を作らず」に進めるとして始めたものと記憶の片隅に残っています。

 

何も言わずに粛々と進めれば良いだけのものですが、小泉らしく仰々しい名前を付けてしまいました。

 

その後も後継首相はそれを踏襲し、民主党政権時代を除いて続けられています。

 

しかし、財政再建などはどこに消えたのか。

やるべきことは防衛費を除いた歳出削減、とくに社会保障費がやり玉と言うことでしょう。

 

「骨太」というからには、芯を通しブレなくやるべきことを進めるという意味でしょう。

フニャフニャな政策ばかりの癖によく言えるものです。

税制も、消費税の10%上げを今から骨抜きにしようとするばかりです。

消費税を上げなければ財源がないかのように言い逃れようとしていますが、「あるところから取る」のが当然でしょう。

今一番儲かっているところから効果的に税を取る。株式投資家、輸出大企業から税を徴収するのが当然でしょう。

それをやってこそ、「骨太」と言えるかと思います。