爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

太陽光発電のエネルギーペイバックタイムが3年とは本当か 近藤邦明さんの「環境問題を考える」で考証

エネルギーペイバックタイム(EPT) (またはEPR(エネルギープロフィットレシオ)というのは、太陽光発電のようなエネルギー変換装置の能力を評価し、その真の経済性を測るための基本的な性質で非常に重要な数値なのですが、これがどうやらいい加減な算出方法で出されているようです。

 

近藤邦明さんの「環境問題を考える」というサイトは以前からこういった問題点を取り上げて論じられているところですが、ここで最近の記事として太陽光発電装置の能力について批判されています。

 

http://www.env01.net/fromadmin/contents/2017/2017_02.html#n1179

 

近藤さんに知人からのメールで、ある太陽光発電の「専門家」から、発電装置のエネルギーペイバックタイム(EPT)は1~3年であると聞かされたが本当かという問い合わせがあったそうです。

その点についての論証がされています。

 

EPTとはエネルギー変換装置の製造や設置、維持等にかかるすべてのエネルギー(入力)に対して取り出せるエネルギーの総量(出力)がどの程度であるのかを表した数字であり、例えばEPTが3年というのは入力総エネルギーは3年分の出力エネルギーに等しいということになります。

 

太陽光発電装置はだいたい寿命が20年と言われていますから、もしもEPTが3年とすればその寿命の間に20/3≒6.6、入力エネルギーの6.6倍のエネルギーを作り出せるということになります。

 

これがどれほど変な数値であるかということは、近藤さんが詳しく論じておられますのでそれを参考にしていただきたいのですが、まあありえない数字でしょう。

 

そもそも、それほどまでに効率の良いエネルギー変換装置であれば現状よりはるかに大規模に普及しているはずですが、全くそのようなことはありません。

 

 

実はこの点については、私もこのブログで何度か論じています。

sohujojo.hatenablog.com

このようなおかしな「EPT」の数値が出回るのも、その算出根拠が科学的に意味のある方法になっていないからでしょう。

おそらく、製造工程のごく一部のエネルギー使用量のみを「エネルギー入力」として、さらに出力の計算では、太陽光発電ではその稼働率が一番の問題であるのに、それを無視したものになっているのではないかと思います。

 

なお、「思います」と書いたのは別に私が特に勉強不足だからということだけではなく(まあその傾向はありますが)、調べてもなかなか本当のところがわからないようになっているからです。

最初から科学的議論をしようという姿勢がないように見えます。

 

装置の製造にかかるエネルギーをすべて洗い出して算出していけば、決してEPT3年などという数字の出るはずもありません。

また、製造だけでなく、実際に建物屋上や空き地に運び、設置工事をするという工程に必要なエネルギーも加算しなければなりませんし、稼働後も定期的なメンテナンスも必要でしょうし故障の場合は修理も必要ですが、それらの必要エネルギーも加算すべきです。

さらに、寿命が終わった後の廃棄にかかるエネルギーも忘れてはなりません。(これを無視するというのは、原発も含めてエネルギー業界の職業病でしょうか)

 

 

近藤さんの記事の中には、このような状況を隠して「光熱費ゼロ住宅」などと言ってほしくないともあります。

太陽光発電装置に加えて充電装置も多数設置すれば確かに「購入電力」はゼロにできるかもしれません。

しかし、そのためには巨額の設備費がかかるのは明らかであり、光熱費ゼロかもしれませんが、その数倍(数十倍?)の「設備費住宅」になるのは目に見えています。

結局、機械メーカー、建築会社にむしり取られるだけなんでしょう。

”賀茂川耕助のブログ”を読んで No.1184 FRBが利上げを決定

賀茂川さんブログはアメリカ連邦準備制度理事会FRB)が利上げを決定したということです。

3月の話だと思いますが、何か状況を見ていたのでしょうか。

 

kamogawakosuke.info

政策金利を引き上げるというのは、景気が上向きインフレ傾向が強まった際に引き締めのためということでしょうが、アメリカ経済が上向いたというデータはないようです。

 

それではなぜFRBがは金利を上げたのか。

賀茂川さんの解説では、FRBは12の連邦準備銀行の集合体に過ぎず政府の機関ではないからということです。

そしてその連邦準備銀行もすべて国際金融資本の出資によるもので、政府のための組織ではなく、あくまでも銀行と顧客の利益だけを考えているということです。

 

中央銀行制度というものが、政府の政策を必ずしも支持しないというのが制度の肝心なところなんでしょうが、それにしても金融資本のためという組織論理があるのでは国民のための政策なんていうものは考慮もされないのでしょう。

 

それでは日本銀行はどうなのか。

日銀の株の55%は日本政府が持っているものの、残りの株式の所有者は非公開だとか。

誰のための政策を取っているのか。そこが問題のようです。

 

「護身の科学 あなたと家族を暴力から守る!」毛利元貞著

著者の毛利さんは「暴力分析コンサルタント」ということですが、かつては東南アジアの紛争地帯で傭兵として参戦した経験があるということで、それを活かし活動しておられるということです。

 

暴力に悩む人々の相談にものっているそうですが、現在の日本は殺人や暴行などの暴力というものに対しての認識が間違っており危険を呼び起こすことすらあるようです。

 

著者はかつての傭兵経験から、人は誰でも加害者になりうること、そしてそれを誘発するような雰囲気もあること等々を科学的に分析し、加害者の心理分析も行い、暴力から身を守るということを様々な状況で解析しています。

 

ただし、家族や学校での暴力についての章の記載では、子供の心理学などかなり深いところまで入り込んでしまっています。

そのあたりの分析が妥当かどうかは教育学者、心理学者から見れば問題があるかもしれません。

あくまでも暴力犯罪の専門家の意見として見るべきでしょう。

 

 

 暴力の起こりうる状況について語る各論では、職場、家庭、学校、そして殺人事件報道とマスコミの関係について語られています。

 

繰り返し強調されていますが、通常我々が持っている暴力事件についての印象というものは、マスコミ報道によってかなり歪められているというものです。

扇情的な報道が多いのも、マスコミがそれによって視聴率向上(テレビ)、売上部数アップ(新聞等)を狙っているためで、それは必ずしも事件の実情を捉えていません。

 

職場で起きる暴力事件というと、暴力団や総会屋の殴り込みといった事態を想像しやすいのですが、実際はその会社の社員や関係者が怨恨や嫉妬といった感情から事件を起こすことが多いようです。

暴力に走るということは、誰にでも起きる事態なのですが、やはり暴力傾向が強いという人は居ます。

そういった人を雇ってしまった場合、解雇するとしてもそれをかえって恨まれて暴力事件を起こされることもあります。それを避けるためにも相手の立場にたって考えもっとも穏便な方法をとる必要がありそうです。

 

 

家庭での暴力事件では、ドメスティックバイオレンスというもの、そして子供が暴力を振るう状態について語られています。

また、隣近所を巻き込む暴力事件というものも多く発生していますので、その対策というものも示されています。

このあたりの点では、たとえば子供が被害者になる場合もありますが、逆に加害者になる場合もありえます。

それをどうするかということを論じると、どうしても、しつけ論、教育論となり、本書もそこに踏み込んでいます。

体罰は必要悪」とも書かれていますが、このあたり教育専門家でしたら別の意見もありそうです。

 

 

学校での事件では、「不審者対策」というものが取り上げられています。

しかし、著者のみるところ現在の学校の「不審者対策」というものは非常に偏っており実効性に乏しいもののようです。

防犯カメラや校門の閉鎖、警察への非常連絡等の対策が取られていますが、その効果は疑問が多いようです。

防犯カメラなどは単に記録をするということで抑制効果を狙うのですが、子供相手に危害を加えようという犯人は「死刑になりたい」という確固たる信念をもっている場合も多々あるようです。こういった相手には何の効果もありません。

こういった点でも、「暴力を振るう側の意識に立って考える」必要がありそうです。

警備員を雇って常駐させる場合もあるようです。しかし、こういった警備員も専門の教育を受けた人でなければかえって間違った対応で相手を刺激してしまう危険性もありそうです。

 

 

このような、身近な危険を回避するには、各自が「直感」を大切にして未然に防ぐことが必要になります。

これから暴力を振るおうという人間には必ずなんらかのサインが出ているはずです。

それを感じ取り、すぐに離れるにはその直感がなければならないのですが、実はこういった直感を鈍らせる働きをしているのが、現在のマスコミ報道だということです。

 

そういった事件が起きた際の報道では、ありふれた類型化が横行し、本当の危険性を隠してしまいます。

また、報道が過熱することにより犯罪予備軍の者たちを刺激することにもなります。

さらに、犯行の手口を報道することが「こうすれば犯罪が成功する」ということを伝えていることにもなっています。

言わば、犯罪予備軍に入れ知恵をしているようなものです。

その結果、同じような事件が続発することにもなります。

 

各所にやや踏み込みすぎという描写もあるようですが、やはり参考になるものが多かったと感じました。

著者はかつて傭兵として戦場に立った経験があるということで、「人を殺したことがあるか」と聞かれることも多いようです。

それには答えないということですが、やはりあるのでしょう。

戦場でも兵士が皆平気で敵を殺していたわけではないそうで、第2次大戦当時のアメリカの陸軍の調査では「敵に向かって発砲した兵士は20%」であったそうです。

残りの80%は当たらないように撃ったということです。

しかし、それでは困る?ということで人間性を壊すような訓練方法が取られ、ベトナム戦争ではその割合が90%にまで上げられました。

その結果、退役後に重い心理障害を発症する元兵士の割合も増えたそうです。

 

平凡な生活の自分にとってはまったく想像するしか無い感覚ですが、犯罪被害に合わないということも大切な考え方なのでしょう。

 

護身の科学

護身の科学

 

 

アニサキス中毒が激増 「安心?!食べ物情報」で紹介

生魚の寄生虫による食中毒、「アニサキス中毒」が激増しているという、「安心?!食べ物情報」の紹介です。

 

渡辺宏さんのこのサイト、週1回の更新ですが、毎週のように参考になる記事が載っています。

http://food.kenji.ne.jp/review/review912.html

 

サバやサケ、イカなどに多い寄生虫で、虫ですから加熱したり冷凍すれば死んでしまい安心なのですが、生のまま流通し加熱せずに食べると胃腸内で暴れまわって激痛を引き起こします。

 

日経新聞にも紹介記事がありました。

www.nikkei.com

発生件数も激増と言えるほどのようで、2007年の6件から16年には124件になったとか。

なお、以前はこの集計が行われていなかったということで、無かったわけではないようです。

ただし、流通過程の改良で生魚のままの流通が増えたことは間違いないようで、実数はやはり増えているのでしょう。

 

また、記事中にもあるように寿司に代表される和食の海外進出で、ヨーロッパでもアニサキス中毒が発生する事態が増えており、あちらの医師はこの病態の知識が少ないために治療に苦労するということもあるようです。

 

 

なお、「刺し身でもよく噛んで虫をちぎれば大丈夫」という話もありますが、これは無理なようです。

 

 

日本人の生食好きというものは、あちこちに被害を作り出しています。

牛レバーや鶏刺しなんていうものもいまだに生食して感染してしまう人が絶えませんが、魚刺し身でも問題ありです。

イノシシ肉の刺し身なんていう論外なものまで紹介されるということもあり、マボロシのグルメ大国(というこか、ゲテモノ食い大国)はどこまで行くんでしょう。

sohujojo.hatenablog.com

 

「今こそ家系図を作ろう」岩本卓也・八木大造著

今、家系図を作るというのがブームになっており、日本ばかりでなく海外でも広がっているそうです。

 

本書はその家系図の作り方を細かに解説するという、実用書的な作りのものになっています。

岩本さんは本書の中でも紹介されている家系図作成ソフト「ルーツ2006」を製作販売されており、また八木さんは家系図サイト「ネットde家系図」の責任者ということです。

 

最近、家系に関するエッセイを読みましたので、その関連として作り方というものも見てみようということで、読んでみました。

 

 

調査の手順としては、まず家族や親戚に聞いて情報を集めること。

そして、関係する戸籍を集めること。

この戸籍の取得方法というところは、詳細に記述されており、巷間語られているように、素人には難しいということもなく、役所に問い合わせその指示にしたがって手続きをすれば大丈夫ということです。

ただし、取得希望の人の直系親族でなければ入手できないためにその確認が必要になるそうです。

 

次に、戸籍で判明したところから、墓所の調査、過去帳の調査ということも必要になります。ただし、過去帳が残っていても閲覧禁止となっている物が多いようです。

さらに、各地に残る古文書に名が残っている場合もあります。

 

 

得られた情報を家系図という形にまとめていくのですが、これにはコンピュータ使用が便利なようです。

エクセルのような表ソフトでも可能ですが、専用の家系図作成ソフトを使えばデータを記入していくだけでできるものもあります。

また、ネット上で無料で使えるものもあるようです。

 

 

家系図を作る人の動機というと、やはり身近な親族の葬儀が行われた際に親族が集まって話をしても誰も知らないといったところから、きちんと調べてみようと思うものが多いようです。

 

先祖供養のため、そして子孫に残すため、親戚とのコミュニケーションのためといった使い方があるようですが、遺産相続のためといった生々しいものもあるようです。

なお、「葬儀での焼香の順番を決める」ためにも使えるということで、結構こういったことで揉めることもあり、家系図を見せれば片がつくということだそうです。

 

アメリカやドイツ、イスラエルなどでもこういったことを趣味として行う人が増えているとか。

 

ちょっとやってみようかなと思わせるものでした。

 

いまこそ家系図を作ろう

いまこそ家系図を作ろう

 

 

「なぜか「安心して話せる人」の共通点」和田秀樹著

著者は数多くの本を書いていらっしゃいますが、本業は精神科医です。

精神科医というのは患者に話をさせてその病状を判断するというのが重要な診断法ですので、患者が「安心して話す」ことができなければ、診察にもならないのですが、やはり色々と注意点はあるようです。

 

それを参考にすれば医者以外でも「話しやすい人」と見られることは大いに役立つはずです。

そのために書かれたこの本は非常に易しい語り口です。

 

 

まず、「上手に話す」ことは必要ないということです。上手に話すことよりは、相手が触れられたくない話題に触れないということの方が重要です。

その話題を出すことで「相手が傷ついている」ということにも、気づかない人は困ったものです。

 

その話題を出すことでついつい相手を傷つけてしまうということがあります。

著者は東大理三に現役合格したという秀才ですが、このことを持ち出せば大抵の人は感心してくれることはなく、反発することが多いようです。

もしも、著者が「サッカーの代表選手に選ばれた」(嘘ですが)と話せば多くの人が「すごい」と思うでしょう。

他にもいろいろな才能で話をすれば素直に尊敬されるものもあるのですが、学歴だけはダメです。

 

また、金儲けの成功体験というのもタブーです。誰もがやってみて失敗している話題はどうもいけないようです。

 

 

人の気持ちに関係なく、自分の話ばかりする人がいます。

そうなると、相談したいことがあっても「この人はダメだ」とあきらめてしまいます。

私達が安心して話をできる人というのは、自分が話すことよりまず相手の表情や気持ちに関心を持ってくれる人だということです。

 

 

著者のような対話の達人という人でも、時には相手を傷つける失言をしてしまうこともあります。

話した瞬間、相手の顔色がはっきりと変わったことに気づいてしまうことがあります。

そういう時は、やはりなんとかフォローします。

こうすれば、たとえその失言が本音だとしても、相手との関係をこれからも大切にしたいという気持ちがあるということを相手に伝えることになるからです。

 

しかし、本当は失言をできるだけ避けた方が良いのは当然です。

それには、対話をする時にはできるだけ低姿勢になること。それで失言は減ります。

失言をするというのは、ほとんどの場合「相手を見下す気持ち」から生まれてきます。

どういう場所、どういう相手に対しても丁寧に接する人は失言をすることも少ないでしょう。

少しぐらいなめられてもその方が楽に生きられます。

 

 

とは言ってもいつも相手を安心させる話し方ができる人なんてほとんど居ません。

たいていの人は「なぜこの人はこんなにひどい話し方をするんだろう」と思うくらいの話をします。

そんな時は気を取り直し「今日はついていない」と思い、気楽にかまえるのが一番だということです。

 

なぜか「安心して話せる人」の共通点

なぜか「安心して話せる人」の共通点

 

 

やれやれ、非常に分かりやすく書かれた本ですが、読んでいると反省ばかり強いられるものです。

 

九州国際スリーデーマーチ開催

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ただ歩くだけのスリーデーマーチが、12日より3日間八代市球磨川河川敷公園をメイン会場に開催されます。

12日の1日目に参加しました。

今日は10kmコース。10時出発の会場風景です。

この時はまだ曇りの天気だったのですが、この直後に雨が降り始めどんどん激しさを増し、雷も鳴るという状況で、ゴール時の12時には大粒の雨が土砂降り状態。

一応傘は持っていったのですが、そんなものでは止めきれずズボンや背中もびしょ濡れ。

 

しかも、自転車で行ったので帰りもさらにびしょ濡れ。非常に疲れました。

 

明日もあるけど、どうしようかな。

なお、コース途中で開かれていた絵画展会場の八代亜紀さんです。

この後、スリーデーマーチ会場でもトークショー開催とか。

明日は陣内貴美子さん、松中選手も来るそうです。八代出身有名人総出。

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